エンジニアのための著作権入門

この記事を読むために必要な時間は約5分(1598文字)です。

制限:営利を目的としない上演等

ゲーム好きの方は注意した方が良い、『営利を目的としない上演等』についてのお話です。
今回はエンジニアというよりは、ゲーム好きの方へのお話です。

著作権の制限事項の種類については、著作権の制限事項についてを参照ください。

最近ではゲーム攻略の様子をネットで公開する方がいます。
技術の進歩(と少し古さを感じさせる言い方ではありますが)により、簡単にネットで公開できるようになってきました。
ネット公開をする場合、注意しないと著作権法に違反するので、今回はそのお話です。

このお話をするときによく「『営利を目的としていない』から大丈夫」とお話されている方がいらっしゃいます。
この場合のお話は、大きく分けると2種類に分かれます。

  1. 私的利用である
  2. 対価を得ていない
始めについては、「私的使用のための複製」でお話していますので、そちらを参照いただくとして、今回はもう一方の「対価を得ていない」についてのお話をします。
表題でも書いていますが、「対価を得ていない」については、『営利を目的としない上演等』として以下のように規定されています。

第三十八条  公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
2  放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送し、又は専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
著作権法第三十八条
(3以下略)
最初の部分(第1項)については、『上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる』となっています。
公衆送信についてできるとは書いていないので、公衆送信にあたるネットでの公開は認められていないと読めます。

次の部分(第2項)については、『自動公衆送信』と言う言葉が入っているので認められているようにも読めます。
公衆送信については、『公衆送信権等について』でお話していますので、詳しくはそちらを参照いただくとして、この規定についてお話を進めます。
条文をよく見ると、『自動公衆送信』の前に『有線放送し、又は専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的』となっていています。
対象地域が限定されていて、ネットのように地域指定がない公開は認められていないと読めます。
それに、もともと、第2項の規定は電波の状況が悪い地域の共同アンテナなどを想定して作られたとのことなので、ゲームの攻略などは含んでいないですね。
ゲームについては、『映画の著作物』に該当する場合があると以前お話しています。
元のゲームが該当する可能性があるくらいなので、その攻略画像についても『映画の著作物』に該当する場合があります。
著作物に該当するのであれば、自分がプレーした画像だと言っても、『著作物』であれば、著作者(今回の場合はゲーム会社)から許可がないと勝手に公開できないことになります。

このように、問題になることがあるので、注意しましょう。

ゲーム機によっては最初からネットで公開する機能があるものもあります。
このような場合、取扱説明書などで事前に許可されている場合がありますので、ネットで公開する前に確認するようにしましょう。


公開する場合は、出所の明示を

第三十八条による公開の場合『出所の明示』が必要になることがあります。
出所の明示について』でお話していますので、参照ください。

タグ:, , , , ,


広告枠・・・広告やリンク先の保証はしません

参考記事(一部広告含む)


このページの記事についてちょっと質問!