エンジニアのための著作権入門

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著作者人格権:同一性保持権について

言葉からは分かりにくい、『著作者人格権』の権利の一つである『同一性保持権』についてお話します。

『著作者人格権』の種類及び共通する権利については、『著作者人格権』についてを参照ください。

『同一性保持権』とは?

一言でいうと、同一であることを無断で改変(変更、切除など)されない権利です。

このままではわかりにくいので、例を挙げてみます。
デジカメ写真をウェブに掲載する場合を例にすると、以下のようなことを禁止できる権利です。

  • 写真の大きさの変更
  • 写真の切り抜き
  • 写真の一部を上下左右の一部を枠に合わせるための削除
  • 写真に吹き出しなどの絵や文字を入れる変更
  • ・・・など

このようにデジカメ写真を【データの変更をされず】に、【そのまま表示させる】ことができる権利です。

注意事項

公表権』と同じように、『同一性保持権』にも制限が加えられることがあります。

著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変(著作権法第二十条2四)です。

といってもわかりにくいので、例を挙げると、デジカメ写真の印刷です。

プリンタの性能(インクの種類など)によって、色がデジカメのデータ通りに出ない場合があります。
さすがにこれは意図的な改変ではないので除かれます。

また、上の例で出てきたウェブ表示に関しても、注意が必要です。
例えば、スマートフォンの場合、表示の拡大縮小があります。
機器の性能で写真のサイズが画面サイズに収まらない場合、元の写真データが改変されていなくても、大きさを変えて表示することがあります。
この場合は、改変に当てはまるとも考えられますが、やむを得ない改変なので、除かれます。

同じような例では、カラオケで歌われる歌です。
プロの歌手と同じに歌うのは、難しいので、除かれます。
これを性能のせいと言っていいのかという突込みは無しです。

もう一つ、『プログラムの著作物』の場合、パソコン用のソースコードをスマートフォンなどの別のデバイス用に変えるときは、除かれます(著作権法第二十条2三)。
クロスコンパイラなど、同一ソースコードから違うオブジェクトを作ったり、別デバイス用に改変することは、前のお話と同じような考えで、認めてもよいと考えられています。
同一ソースから作られるので、同一性はあると簡単に考えた方がわかりやすいかもしれませんね。 この点は特に注意が必要です。

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