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よく悩む接続詞について ~ 「又は」・「若しくは」、「及び」・「並びに」、「かつ」 ~

契約書を読み書きするときによく悩む接続詞をまとめてみました。

接続詞の使い方

最初に同じ意味の接続詞を使う場合の使い方をまとめました。

又は・若しくは

意味

2つ以上の事柄で、どちらを選んでもよい場合に使います。
大きな方に「又は」(または)を用い、小さな方に「若しくは」(もしくは)を用います。

  • ABC社の1課若しくは2課又はDEF社の社員が、・・・することができる。
  • 展開して、すべてを「又は」で書き換えると、
    ABC社の1課の社員、又は、ABC社の2課の社員、又は、DEF社の社員が、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社の1課の社員でも、ABC社の2課の社員でも、DEF社の社員でもよいので、いずれかの社員が・・・することができる。

使い方

原則として、「又は」を用い、「又は」を使わずに「若しくは」だけを使うことはしません。

:ABC社の1課又は2課の社員が、・・・することができる。
×:ABC社の1課若しくは2課の社員が、・・・することができる。

3つ以上の場合

同じ単位で3つ以上、並べるときには、「、」「,」を使い、最後に「又は」を使います。

:ABC社の1課、2課、3課又は4課の社員が、・・・することができる。
×:ABC社の1課又は2課又は3課又は4課の社員が、・・・することができる。

及び・並びに

意味

2つ以上の事柄を一括して表現する場合に使います。
大きな方に「並びに」(ならびに)を用い、小さな方に「及び」(および)を用います。

  • ABC社の1課及び2課並びにDEF社の社員が、・・・することができる。
  • 展開して、すべてを「及び」に書き換えると、
    ABC社の1課の社員、及び、ABC社の2課の社員、及び、DEF社の社員は、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社の1課の社員と、ABC社の2課の社員と、DEF社の社員なら、誰でも・・・することができる。

使い方

原則として、「及び」を用い、「及び」を使わずに「並びに」だけを使うことはしません。

:ABC社の1課及び2課の社員が、・・・することができる。
×:ABC社の1課並びに2課の社員が、・・・することができる。

3つ以上の場合

同じ単位で3つ以上、並べるときには、「、」「,」を使い、最後に「及び」を使います。

:ABC社の1課、2課、3課及び4課の社員が、・・・することができる。
×:ABC社の1課及び2課及び3課及び4課の社員が、・・・することができる。

かつ

意味

2つ以上の事柄が同時に起こっていることを表現する場合に使います。
「及び」、「並びに」に意味は近いですが、「かつ」(且つ)の場合は、どちらも必要と明確にしたい場合に使います。

  • ABC社が増収及び増益の場合は、・・・することができる。
  • 展開して書き換えると、
    ABC社が増収の場合、及び、ABC社が増益の場合は、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社が増収か増益かどちらか一方でも満たすことができれば、・・・することができる。

  • ABC社が増収かつ増益の場合は、・・・することができる。
  • 展開して書き換えると、
    ABC社が増収の場合、かつ、ABC社が増益の場合は、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社が増収、増益の両方を満たすときは、・・・することができる。

3つ以上の場合

同じ単位で3つ以上、並べるときには、「、」「,」を使い、最後に「かつ」を使います。。。と言いたいところですが、使われることはないです。
使ってはいけないというお話は聞いたことが無いので、絶対とは言いませんが、多くの場合、以下のような使い方をします。

  1. 次のいずれにも該当する場合は、・・・
    1. xxxx
    2. xxxx
  2. 各号のいずれにも該当する場合は、・・・
    1. xxxx
    2. xxxx

悩む接続詞の使い方

ここからが本題。
悩む接続詞の使い方についてまとめました。
「及び」と「又は」を例にまとめます。
又は・及びの両方使えそうな場合が悩むとのご質問が多いので、お話します。
先の例からわかりやすいように『』を追加しましたので、ご確認ください。

2つ以上の事柄が同時に起こらない時

この「又は」と「及び」の両方使えそうな場合は、多くの場合「又は」を用います。
以下の例で、「又は」の方がより意味がはっきりしそうと感じて頂ければ幸いです。

「及び」の場合

  • ABC社の1課及び2課の社員が、・・・することができる。
  • 展開して書き換えると、
    ABC社の1課の社員及びABC社の2課の社員が、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社の1課と2課の社員『の内、どちらか一方の社員』なら、誰でも・・・することができる。

「又は」の場合

  • ABC社の1課又は2課の社員が、・・・することができる。
  • 展開して書き換えると、
    ABC社の1課の社員又はABC社の2課の社員が、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社の1課と2課の社員の内、どちらか一方の社員なら、『誰でも』・・・することができる。

2つ以上の事柄が同時に起こる時

この「又は」と「及び」の両方使えそうな場合は、多くの場合「及び」を用います。
以下の例で、「及び」と「又は」の違いがよりはっきりしそうと感じて頂ければ幸いです。

「及び」の場合

  • ABC社が増収及び増益の場合は、・・・することができる。
  • 展開して書き換えると、
    ABC社が増収の場合、及び、ABC社が増益の場合は、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社が増収か増益かどちらか一方でも満たすことができれば、・・・することができる。
    付け加えると、『ABC社が増収と増益の両方を満たすことができた場合も、・・・することができる。』

「又は」の場合

  • ABC社が増収又は増益の場合は、・・・することができる。
  • 展開して書き換えると、
    ABC社が増収の場合、又は、ABC社が増益の場合は、・・・することができる。
  • 言い換えると、ABC社が増収か増益かどちらか一方でも満たすことができれば、・・・することができる。
    さて、『ABC社が増収と増益の両方を満たすことができた場合は、できる?できない?』どちらでしょう・・・


ここまでお話してきましたが、実際に契約書で使うにはどうしたらよいかというご質問が多いです。
このため、別途、悩む接続詞はどう書いたらよいの?というご質問について、対応策についてお話します。


公開後、ご質問が多かった部分を少しでもわかりやすくなるように書き換えました。
(2016年9月13日変更)
(2017年2月12日変更)
(2017年8月30日変更)
(2018年3月2日追記)

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