ビジネス初心者のための契約書入門

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悩む接続詞はどう書いたらよいの? ~ 接続詞で悩んだ時の対応策 ~

よく悩む接続詞について」お話したところ、使い方の相談が多く寄せられたので、今回は対応策についてお話します。

結局、悩む接続詞はどう書いたらよいの?

どう書いたら良いのか?とご質問いただくこともあります。
そのようなときにお話するのが、この講座の最初にお話した、「なぜ契約書が必要なのか?」の「記録として残すため」です。

人が読むことが前提にあるのですから、人によって違うように読めたり間違って読むようなことが無いように書きたいですよね。
このため、悩むくらいなら接続詞を使わない・・・というのはどうでしょう?

悩むくらいなら接続詞を使わない・・・とはいうが?

「使わなくて良いくらいなら初めから使わない。必要があるから質問している。どう書いたら正しいのか教えてほしい!」 言い方はいろいろありますが、接続詞を使わないというと、このような意味の返事が返ってくることがあります。

この場合、最終的には、次の書き換えのお話をします。
その前に、お話を聞くと多くの場合、次のような思い込みや勘違いがあります。
  • 契約書の条文は一文で書かなければいけない
  • 契約書は同じ意味合いの条文を複数に分けてはいけない

契約書の条文は一文で書かなければいけない

契約書の条文の基本形は以下のようになります。

第○条 甲は乙に対してxxする。

こう見ると確かに一文です。
「xxする」の部分が「代金を払う」だったり、「モノを作る」だったりします。

それでは、「xxする」の部分が「解約する」の場合はどうでしょうか?

多くの場合、「解約条項について」でお話したように、解約する場合の条件を入れます。

解約の条文の例で記載しているように、号を用いるなど、一文ではありません。

このように、解約条項のように条件を列挙するような書き方の場合、号などを用いて、一文ではない書き方をすることができます。
質問者の中には、この解約条項のお話するだけで、「そういえば・・・」と納得される方もいらっしゃいます。
思い込みというのがなかなかわからないということが良くわかります。

契約書は同じ意味合いの条文を複数に分けてはいけない

こちらも契約書の記載を例にお話しましょう。
よく悩む接続詞について」と同じ例でお話します。

(増収及び増益条項) 第10条 ABC社が増収又は増益の場合は、・・・することができる。

ここでは仮に第10条としてみました。
それでは、この例を次のように分けた場合はどうでしょうか?

(増収条項) 第10条 ABC社が増収の場合は、・・・することができる。

(増益条項) 第11条 ABC社が増益の場合は、・・・することができる。

おかしいと感じないのではないでしょうか。

条文は同じものは一条にしなければならないとお考えをされている質問者さんもいらっしゃいます。
多くの契約書では、同じような意味合いの条文が複数あることもありますし、一条にしなければならないというルールもありません。

また、「こんなことをすると、紙の枚数が増えるから困る」と言われることもあります。
エコや保存場所の関係で、極力紙の枚数を減らしたいという要望はわかりますし、否定はしません。

それに、契約書の紙の枚数や大きさに制限がある場合は条文を分けることはできない場合もあります。
しかし多くの契約書では紙の枚数や大きさに絶対的な制限はないのではないでしょうか。

紙の大きさのお話をするとA4と決められているとのご指摘を頂くことがあります。
確かに、最近では、紙の大きさはA4と決められていることはあります。
その場合でも、紙の大きさは変えずとも、両面印刷にするなどして1枚に記載できる大きさを増やすことはできることは多いのではないでしょうか。
また、1枚や2枚であれば、枚数を増やすことができる場合も多いのではないでしょうか。

このように枚数を絶対減らさなければならないという思い込みがある場合もあります。
思い込みのために契約書の枚数を制限して、誤解されるような契約書を書くよりは、枚数が増えますが、条文を分けた方が良いのではないか?というのが対応策の根本にあるお話です。

記載例:わかりやすいように書き換える

今までのお話を例を示してまとめてみます。
  • 契約書の条文は一文で書かなければいけない=>条件の列挙
  • 契約書は同じ意味合いの条文を複数に分けてはいけない=>条文を分離

条件の列挙

最初は条件の列挙です。

  • 変更前
    第○条 甲は乙がA、B、C、D又はEになった場合は、XXすることができる。
  • 変更後
    第○条 甲は乙が次の各号のいずれかに該当することになった場合は、XXすることができる。
        1 A
        2 B
        3 C
        4 D
        5 E


条文を分離

2文ではわかり難いので先ほどの例から変えています。
例題のA、B、C、D、Eは同時に起こりえない事象として考えてください。

  • 変更前
    第10条 甲は乙がA、B、C、D及びEになった場合は、・・・することができる。
  • 変更後
    第10条 甲は乙がAになった場合は、・・・することができる。
    第11条 甲は乙がBになった場合は、・・・することができる。
    第12条 甲は乙がCになった場合は、・・・することができる。
    第13条 甲は乙がDになった場合は、・・・することができる。
    第14条 甲は乙がEになった場合は、・・・することができる。

まとめ

契約書は、人が読むことが前提ですから、
  • 書き方にこだわりすぎず
  • わかりやすく
  • 勘違いされにくい
ように書くことを心がけましょう。

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