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契約書の甲乙、甲は誰?乙は誰? ~ 契約当事者の表記について ~
- 投稿日:2017-03-01
- 最終更新日:2020-01-21
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- カテゴリ:契約書の当事者
甲乙って何?と言う方は、契約当事者の表示についてで既にお話していますので、ご覧ください。
また、契約書に出てくる「甲乙」の読み方は、「甲:こう」「乙:おつ」となり、次の人は「丙:へい」です。
4人以上が出てくる場合については、「契約当事者の表示について」や「十人より多い契約当事者について」でお話をしていますので、必要な方はご覧ください。
甲乙の決め方に決まりはあるのか?ですが、結論から言うと、無いと言ってよいでしょう。
はっきり無いと言わないのは、業界標準のような考え方があるからです。
ただ、これも絶対的なものではないので、無いと言ってよいでしょう・・・が回答になります。
甲乙というと、どうしても甲が良さそう、先に見える、有利に見える・・・という印象をお持ちの方もいらっしゃいます。
必ずしも、そうではないのですが、このお話では、甲が先だから良いという印象で読み進めていただくとわかりやすいかもしれません。
目次
基本的な考え方
ビジネスの場合、甲乙の決め方に「お金を払う方が先」という考え方があります。そのまま適応すると、
- 甲:お金を払う人
- 乙:お金をもらう人
取引に合わせて言い換えると、
- 甲:仕事を依頼する人、モノやサービスを買う人
- 乙:仕事を受ける人、モノやサービスを売る人
このように、お客様を優先しようという考え方です。
不動産取引の考え方
不動産取引の場合、甲乙の決め方に「不動産を持っている人が先」という考え方があります。そのまま適応すると、
- 甲:不動産を持っている人
- 乙:不動産を受け取る人
取引に合わせて言い換えると、
- 甲:売主、地主、貸主、貸家人、など
- 乙:買主、借主、借家人、など
「お金を払う人が先」とは明らかに違います。
それに、「お客様を優先」とも違うように見えます。
ただ、これも見方を変えると「お客様を優先」になります。
不動産取引の場合、多くの場合、不動産屋さんが契約書を作成します。
不動産屋さんが取引を行う場合、当たり前ですが、不動産を持っている人が居ないとはじまりません。
このため、最初に取引内容を相談するのは、不動産を持っている人になります。
言い換えると、不動産屋さんが契約書の原型(=交渉の前提となる契約書)を作るときのお客様は、不動産を持っている人になります。
確かに不動産を買う人や借りる人もお客様です。
しかし、後から出てきます。
先に出てきているお客様を優先して契約書の原型を作成する以上、後から甲乙をひっくり返すような面倒なことはしないでしょう。
古くからの慣習なので、これが理由とは言い切れませんが、こう考えると、「お客様を優先」と考えることはできます。
大企業との取引での考え方
大企業との取引の場合、「大企業が先」という考え方があります。そのまま適応すると、
- 甲:大企業
- 乙:相手方
大企業の要望・・・という面が無いとは言わないですが、そうでないこともあります。
例えば、大企業が仕事を発注する場合です。
大企業が色々なモノやサービスを入手することは多くあります。
この場合、基本的な考え方どおり、「お金を払う方が先」になります。
大企業が仕事を受ける場合でも、甲が大企業という場合もあります。
多くの場合、不動産取引と同じように、大企業が契約書を作成します。
先に「お金を払う人」が居ないです。
このため、先に自社(大企業)を甲として、契約書を作成しています。。。
とまでお話しましたが、この先お話しても、不動産取引のように「お客様を優先」とするには、無理が生じそうです・・・
実務でも、同程度の規模の企業同士で取引を行う場合、どちらが甲とするか?
言い換えると、どちらが用意した契約書を原型とするか?
で、交渉がはじまることが多くあります。
おわかりかもしれませんが、自社で用意した契約書は基本的に自社が有利になるように書かれています。
このため、契約交渉を有利に進めるためには、自社の契約書を原型にした方が良いです。
このようなことがあるため、力関係がはっきりしていると、
- 甲:強い方(大企業)
- 乙:弱い方(中小企業・個人)
ただ、このようなことを嫌い、甲乙を使わない方法で作成した契約書もあります。
実際の方法については、契約当事者の表示についてで既にお話していますので、ご覧ください。
タグ:十干, 契約当事者, 契約当事者の表示, 契約書の言葉
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