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割引困難な手形の交付の禁止 ~ 親事業者の禁止事項【遵守事項】 その9 ~
- 投稿日:2020-12-17
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- カテゴリ:親事業者の禁止事項
14回目の今回は、第2項第2号で規定されている「割引困難な手形の交付の禁止」のお話です。
目次
親事業者の禁止事項【遵守事項】
下請法が規定する「親事業者の禁止事項」は、第4条に規定されています。第4条は下記のとおり、第1項と第2項があります。
第4条
第1項
第1項では、下記の7種類です。- 受領拒否の禁止
- 下請代金の支払遅延の禁止
- 下請代金の減額の禁止
- 返品の禁止
- 買いたたきの禁止
- 購入・利用強制の禁止
- 報復措置の禁止
第2項
第2項は下記の4種類です。- 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
- 割引困難な手形の交付の禁止
- 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
- 不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止
割引困難な手形の交付の禁止
一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付することを禁止している規定です。一般の金融機関とは?
「一般の金融機関」とは、銀行や信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫等の預貯金の受入れと資金の融通を併せて業とする者をいます。このため、資金を融通するだけの、貸金業者は含まれないとされています。
割引困難な手形とは?
「割引困難な手形」の困難とは、下記の3項目を総合的に判断します。- その業界の商慣行
- 親事業者と下請事業者との取引関係
- その時の金融情勢等
このため、現時点の運用では、次のような判断基準を使っています。
業種 | 期間 |
繊維業 | 90日(3か月)を超える手形期間 |
その他 | 120日(4か月)を超える手形期間 |
手形は手形の満期まで待つと、手形の額面の金額が受け取れます。
実際には金融機関の手数料が入るので、手形の額面の金額から手数料分が引かれます。
しかし、満期までの期間が長く待てない場合、金融機関が金利と手数料を取って、前払いしてくれます。
この前払いによる方法が「割引」です。
金利が関係するので、満期までの期間が長いと、その分、受け取れる金額が減ります。
このため、期間が長ければ長いほど、手取りの金額が減ります。
下請企業が受け取る金額が減るため、実質的に、下請代金を減額していることになります。
これでは、「下請代金の減額の禁止」をしている意味がなくなります。
不渡りになる可能性が増えることもありますが、上記の意味もあり、長期の手形を禁止しているのです。
注意
今回(第2項第2号)の規定は、手形の期間が対象です。親事業者が上記手形期間内の手形を交付した場合でも、結果的に下請事業者が手形の割引を受けられなかったときは、対象外です。
引き受けが受けられないということは、そもそも下請代金の支払があったとはいえないからです。
この場合、「支払遅延」の対象になります。
次回は、第2項第3号の「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」です。
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