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設立に際して出資される財産の価額又はその最低額とは? ~ 定款の最低限の記載事項について ~ 

会社法で決まっている定款で定めなければならない事項は、5項目とお話しました。
今回は、この5項目の内の1つ、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」についてお話します。
聞きなれない言葉ではないでしょうか。
実際どのような意味なのか?や決め方などをお話していきます。

必須の定款事項

何度かお話していますので、おさらいです。
会社法で定款決めなければならないとなっている事項は次の5項目です。
  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

ここからは、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額の詳細についてお話します。

設立に際して出資される財産の価額又はその最低額

意味は?

分かりやすくするために、「又は」の前後でお話します。
前半は、設立時に会社にあるお金や財産です。
後半は、設立時に会社にあるお金や財産の財産価額が最低額未満では会社を設立しないという意味です。

前半は価額が決まっているわかりやすいですね。
後半のように具体的な金額を決めないのはなぜでしょうか?

どうして決めるの?

発起人とは?でお話しているのですが、設立時に株主になるとしても、出資するか決まっていない人がいます。
当たり前と言えば当たり前なのですが、決まっていない人がいくら出資するかは決まりません。

その様な場合には決めたくても決めることが出来ません。

また、出資するとは決まっていても、いくら出資するかが決まっていない人が居ることもあるでしょう。

では、なぜ最低額は決めるのでしょうか?

目的のところで、設立する法人(会社)が何をするか?は決まります。
そうすると、どの位お金などが必要になるかが予想できてきます。
事業計画などを厳密にすれば、1円単位までなど詳細な金額まで決めることはできるでしょう。

そこまではしなくても、どのくらいのお金や財産が無いと設立した会社が活動できないくなるのか?は見積もるのではないでしょうか。

設立時に最低額は決めておかないと、設立直後にお金が無くなり、活動できなくなることも考えられます。
このため、価額が決まらなくても最低額は決めることになっています。

注意点は?

先ほどから「お金」や「財産」とお話しています。
出資できるのは、「お金」に限りません。
価値のある物」も出資できます。

このように物を出資することを現物出資と言います。

注意が必要なのは、現物出資は何でもできるかというとそうではないということです。

現物出資する物は「価値のある物」である必要があります。
実は、この「価値のある」がやっかいなのです。

決まったルールに基づいて、この「価値のある」を第三者にわかる形にしなければなりません。
この現物出資のルールについては、今回のお話の内容ではないので、別途お話いたします。

注意点 その2

設立に際して出資される財産の価額=資本金ではありません。

実際の関係は、

設立に際して出資される財産の価額  資本金
です。

設立に際して出資される財産の価額を全額資本金にしなければならないことはありません。

資本金をどのように見るか?という問題もあり、今回のお話の内容ではないので、別途お話します。
実際、設立時の出資財産が多い会社以外では、全額を資本金にされることが多いです。
ここでは、全額資本金にしなくて良いと考えて頂ければ大丈夫です。

注意点 その3 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額の決め方は?

質問されることが多いので、決め方についてお話します。
決め方なのですが、先ほど何で決めるの?でお話したことをします。

実際に会社が活動に必要な費用を見積もって、そこから決めます。
よく忘れられるのは、活動費です。
設備費用は見積りなどで出てくるので忘れないのですが、活動費を考えないと、借金をしない限り、何もできなくなります。
わかりやすいところでは、例えば旅費や交通費。
お客様のところに行くにしても、旅費や交通費がありません。
従業員などが立替えるから大丈夫・・・というのは、従業員からお金を借りているのと同じです。
立替えたら、清算して返さなければならないのですから。
このような費用はいろいろとあるので、想定していなかった時の対策として、多少余裕を持ちたいところです。
とは言っても、会社設立時に余裕が無いことはよくあります。
借りるのか出費を抑えるのかなど、どうするかも含めて考えないと、設立後に苦労するだけではなく、悪くすると何もできなくなりますので、要注意です。

次回は、次の「発起人の氏名又は名称及び住所」についてお話します。

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