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議決権の数とは? ~ 議決権とその数について ~

議決権の数とは? ~ 議決権とその数について ~ 「株主総会議事録に記載する議決権の数は、どのように計算するのですか?」とご質問いただいたので、こちらでご紹介します。
元の議決権についてお話して、その後、回答となる議決権の数についてお話します。

議決権の数とは?

議決権とは?

基本的には、株主総会で決議に参加する権利です。
株式会社の場合は株主総会ですが、マンション管理組合の総会、社団法人の社員総会、合同会社などの総会などで、決議に参加する権利も、議決権と呼びます。
株主総会は、既にお話しているように、会社の最高意思決定機関です。
このため、株主総会では、会社の重要な意思を決定します。
その議決に参加するということは、会社の重要な意思決定に参加するということです。

議決権の数は?

議決権の数は、次のような要因で変化します。

  1. 発行済株式総数
  2. 相互保有株式
  3. 種類株式
  4. 単元株式数
  5. 自社株式(金庫株式)数
  6. 特別利害関係のある株主数
それぞれについてお話します。

発行済株式総数

株主は原則として、株式1株につき1個の議決権を有します。
このため、議決権の最大数は発行済株式総数と同数になります。
発行済株式総数から次にお話する内容を引き算や割り算して最終的に残った数が議決権の数になります。

相互保有株式

例えば、A社とB社がそれぞれの会社の総株主の議決権の25%以上を相互に有する場合、A社はB社の株主総会で、B社はA社の株主総会で、それぞれ議決権がありません。
この相互保有株式の株数分を引き算します。

種類株式

種類株式については、次のように、2つの意味があります。
  1. 議決権制限種類株式
  2. 種類株主総会

議決権制限種類株式

議決権制限種類株式とは、種類株式についての3番目でお話した、「株主総会において議決権を行使することができる事項」を制限された株式です。
議決権を制限されていますので、その制限されている事項の決議では、議決権がありません。
制限は、全ての事項ということもできます。
この全てを制限された議決権制限種類株式は、「無議決権株式」などと呼ばれます。

注意が必要なのは、議決権制限種類株式が「無議決権株式」などではなく、特定の事項について議決権がない場合です。
制限された事項の議決についてのみ議決権の数から引き算し、制限されていない事項については引き算してはいけません
その結果として、株主総会の中でも議決権の数が変わりますので、可決しているかどうかの判断をする時に気をつけてください。

種類株主総会

種類株主総会は、その種類株式を所有する株主しか参加できません。
このため、該当する種類株式以外の種類株式を引き算、というより除外します。

自社株式(金庫株)数

会社が保有する自社株式です。
株主総会では、会社の意思を株主という第三者が決定するのですから、自分の意思は反映できません。
厳密には、取締役などの役員が保身のために使うなど、株主の利益を害するおそれがあるため、議決権がありません。
このため、自社株式の分を引き算します。
自社株式は、金庫株とも呼ばれます。
株券を発行している会社の場合、所有している株式の株券を会社の金庫にしまってあるということから、そう呼ばれています。

特別利害関係のある株主数

会社が特定の株主から株式の譲渡を受ける場合、株主総会で承認が必要になります。
株主総会で自分の株式の譲渡の話をするので、「自分にとって都合の良い議決」をすることが考えられます。
この「自分にとって都合の良い議決」が他の株主の利益を害するおそれがあるため、議決権がありません。
このため、譲渡の対象となっている株式を所有する株主の分を引き算します。

単元株式数

最後は割り算です。
単元株式は、既にお話したように、500株や100株など一定の株数をまとめて1単元とします。
これにより株式1株につき1個の議決権から、1単元につき1個の議決権とする方法です。

このため、単元株式数で割り算することになります。
少しややこしいのは、単純に割り算するのではなくて、株主ごとに割り算が必要なところです。
発行済株式総数が30株で、単元株式数が10株の会社を例にお話します。

株主ごとに割り切れる場合

Aさんが10株、Bさんが20株の場合はどのようになるのでしょうか。
Aさん:10株÷10株=1個
Bさん:20株÷10株=2個
となり、議決権の数は合計3個となります。

株主ごとに割り切れない場合

それでは、Aさんが12株、Bさんが18株の場合はどのようになるのでしょうか。
この場合、30株を10株で割った3個とはなりません。
Aさん:12株÷10株=1個・・・あまり(端株)2株
Bさん:18株÷10株=1個・・・あまり(端株)8株
となります。
各株主の端株については、全員の端株の合計が単元株式数になってとしても、議決権はありません。
このため、議決権の数は合計2個となります。

まとめ

これまでお話してきたような引き算と割り算を行うことにより、議決権の数が決まります。

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