エンジニアのための著作権入門

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著作権:翻訳権、翻案権等について

実はエンジニアへの直接的な関係が強い、著作権の権利の一つである『翻訳権、翻案権等』についてのお話をします。

『著作権』の種類及び共通する権利については、狭義の著作権についてを参照ください。

「翻訳権、翻案権等」って?

『翻訳権』はわかりやすいですよね。外国語などへ翻訳する権利です。
では、『翻案権』とは何でしょうか?

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。(著作権法第二十七条)
と条文を持ってきましたが、これでわかれば説明はいらないですよね。

「翻案」と言う言葉は、「既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現形式を変更して新たな著作物を創作する行為であると解されている」という最高裁の判例があります。

判例でもわかりにくいので例を出します。
わかりやすいところでは、ソフトのバージョンアップです。
元のプログラム(プログラムの著作物⇒既存の著作物)を基に(依拠し、同一性を維持)、追加・変更・削除(表現形式を変更)して、新たな著作物を作ることになります。

少し注意してほしいこと

バージョンアップではないが、プログラムを変更することはありますよね。
そう、改修です。
バグ改修は、翻案になるのでしょうか?
程度にもよりますので、全部がそうとは言えませんが、基本的にはなりません。

バグ改修のお話は、ここでお話している『翻案権』ではなく、既にお話している同一性保持権がより関係してきます。

既にお話している前半(著作権法第二十条2三)ではなく、後半の部分です。

三  (略)プログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
基本的には、バグ改修は、この「効果的に利用しようとするために必要な改変」に含まれると考えてよさそうです。

ただ、規模の大きな改修の場合、『翻案』に該当するのではないか?とも考えられますので、注意が必要です。
この改修規模の考え方については、規定がないので、判断が分かれるところです。

もう一つ注意してほしいこと

複製権についてでお話した、ゲームのキャラクターについてです。
別のゲームにキャラクターを登場させると、『複製』に当たることがあるというお話でした。
このときお話した『複製』に当たらない場合のうちの一つが、この『翻案』です。
キャラクターを全く別のゲームで使う場合、『複製』ではなく『翻案』になる場合があります。
どのような登場のさせ方をするかなど、いろいろと条件があるので、注意が必要です。
  • 『複製』はコピーする
  • 『翻案』は表現形式を変更する
と言う点で違いがあるので、参考にしてみてください。

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