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下請代金の減額の禁止 具体例2 ~ 親事業者の禁止事項【遵守事項】 その3の3 ~

前々回から、第1項第3号で規定されている「下請代金の減額の禁止」についてお話をしています。
前回から「下請代金の減額の禁止」の具体例のお話をします。
今回は具体例の2回目です。

親事業者の禁止事項【遵守事項】

下請法が規定する「親事業者の禁止事項」は、第4条に規定されています。

下請代金の減額の禁止

あらかじめ定めた下請代金を減額することを禁止している規定です。

減額の考え方

具体例2では、下記の項目のお話をします。
  1. 下請代金の支払に際し、端数が生じた場合、端数を1円以上の単位で切り捨てて支払う
  2. 手形払の場合の下請代金の額から自社の短期調達金利相当額を超える額を差し引く
  3. 下請代金の額から不要品の対価に相当する額を差し引く
  4. 下請代金の額の何%かを下請代金の額から差し引く
  5. 下請代金の額から一定の割合又は一定額を差し引く
  6. 下請代金の総額はそのままにして、現品を添付させて納入数量を増加させる

下請代金の支払に際し、端数が生じた場合、端数を1円以上の単位で切り捨てて支払う

例えば、「支払は千円単位なので、端数は切り捨てます」では、実質「減額」になりますので、NGです。
なお、「支払は千円単位なので、端数は切り上げます」はOKです。

手形払の場合の下請代金の額から自社の短期調達金利相当額を超える額を差し引く

下請事業者が資金繰りなどの理由で、下請事業者の希望により支払手段としてあらかじめ「手形払」と定めているのを一時的に現金払にすることがあります。
手形は銀行に持っていくと、割り引いて換金できます。
親事業者の財務状況によっては、親事業者が短期でお金を借りた場合の金利を差し引くより、手形の割引で支払われる金額の方が低い場合が起こりえます。
この場合、下請事業者からすると現金払いにした方が手取りが多くなりますから、現金払いを希望することもあるでしょう。
希望された場合、手形の割引金額よりも多いからと言って、親事業者が短期でお金を借りた場合の金利を差し引いた金額より少なくしてはいけないです。

下請代金の額から不要品の対価に相当する額を差し引く

親事業者の客先からのキャンセルや市況変化等など、「親事業者にとって不要になった」からと言って、「受領拒否の禁止の例外」でお話をした以外、親事業者は受領拒否ができません。
受領した以上、不用品であっても、決められた代金を支払う必要があります。
不用品であっても、減額することはNGです。

下請代金の額の何%かを下請代金の額から差し引く
下請代金の額から一定の割合又は一定額を差し引く

下請代金の減額の禁止」でお話をしたように、「販売拡大のために協力してほしい」「多く購入するから値引きしてほしい」「ほかの会社にもお願いしてご理解いただいているから」など、下請事業者の責任ではない理由をつけても、減額はNGです。
また、減額に応じない下請事業者ことを理由に、減額することもNGです。

下請代金の総額はそのままにして、現品を添付させて納入数量を増加させる

いわゆる「おまけ」を要求するような場合です。
具体的には、「100個頼むから1個おまけして、101個にして・・・」はNGです。

次回は、第1項第4号の「返品の禁止」です。

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