捺印のところに手書きしたら? ~ 押印(捺印)の意味 ~

捺印のところに手書きしたら?という質問をいただいたので、ご紹介します。
署名や記名、捺印や押印の意味については、契約当事者の署名押印(記名捺印)についてで詳細をお話していますので、そちらをご覧いただけないでしょうか。

「印鑑がない場合は、名前を手書きしてくれれば・・・」など言われたことはないでしょうか?

この名前を手書きする行為は、署名と同じです。
では、署名だけで、押印(捺印)は必要ないのでしょうか?

法律上の押印(捺印)の意味

法律の条文では、『署名』と『記名押印(記名捺印)』を明確に分けています。
※「署名し、又は記名押印し」(保険法第六条の2)や「署名トアルハ記名捺印ヲ含ム」(小切手法第六十七条)
※「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」民事訴訟法第228条の4など
このような条文からわかることは、署名には、押印(捺印)は不要で、記名には押印(捺印)が必要ということ。
つまり、法律上は、署名だけで有効であるということです。
このことから、ご質問の回答は、以下のようになります。

  1. 捺印の場所に手書きで名前を書いていることは、署名しているのと同じである。
  2. 法律上は署名だけで有効になるから、良いという話になる。

実務上の押印(捺印)の意味

しかし、実際にビジネスの現場では、押印が必要な場合が大半です。
押印していない契約書は無効だと思われている方もいます。

日本では昔からの慣習で、押印していることが当たり前になっています。
このため、裁判でも、「押印がないから契約は無効だ!」と主張される方もいます。
「とりあえず署名したが、よく考えてから押印するつもりだった。だから、契約はしていない!」という主張です。

さて、法律上は有効となっているので、裁判で、無効と主張しても「有効」と退けられるのでしょうか?
必ずしもそうではないようです。
というのも、契約書などの文書が証拠として採用されるには、以下のような判断をするためです。

  • 形式的な判断:文書に書かれている署名が本物かどうか
  • 実質的な判断:その文書が本人の意思で作成されたものか、
    最終的な意思表示と認められるか、など

の両方が、審理でなされて、はじめて証拠として採用されます。

このことから、押印(捺印)がない場合、不利になる可能性もあります。

後々の争いの芽を減らすためには、契約を締結する時には、押印(捺印)を全ての当事者がするようにした方が良いです。

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