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単元株式未満の株主ができないこととは? その2

今回は、前回お話しできなかった定款で制限することができない法務省令で定める権利についてをお話します。
いろいろとあるとはお話していましたが、どのような内容なのでしょうか。

法務省令で定める権利とは?

法務省令では以下のような項目を定めています。

  1. 定款閲覧・謄写などを請求をする権利
  2. 株主名簿記載事項を記載した書面の交付などを請求をする権利
  3. 株主名簿の書面の閲覧や謄写などを請求をする権利
  4. 一定の株主による株主名簿への記載などを請求をする権利
  5. 譲渡制限株式の取得を承認するか否かの決定を請求する権利
  6. 株式売渡請求により特別支配株主が売渡株式の取得の対価として交付する金銭の交付を受ける権利
  7. 株式会社が行う一定の行為により金銭等の交付を受ける権利
  8. 株式会社が行う一定の行為により交付される金銭等の交付を受ける権利

それぞれについて簡単にお話します。

定款閲覧・謄写などを請求をする権利

株主は定款の閲覧や謄写などを会社に求める権利があります。
この制限を決めることにより、単元未満の株主に対して、定款の閲覧や謄写などを制限することができません。

株主名簿記載事項を記載した書面の交付などを請求をする権利

株主は、株主名簿に記載されている内容を書面で交付するなどを会社に求める権利があります。
この制限を決めることにより、単元未満の株主に対して、株主名簿に記載されている内容の書面交付などを制限することができません。

株主名簿の閲覧や謄写などを請求をする権利

株主は定款と同様に株主名簿の閲覧や謄写などを会社に求める権利があります。
この制限を決めることにより、単元未満の株主に対して、株主名簿の閲覧や謄写などを制限することができません。

一定の株主による株主名簿への記載などを請求をする権利

売買や贈与などにより株を取得したら、株主が変わります。
株主が変わるわけですから、株主が記載されている株主名簿に記載されることになります。

譲渡制限会社のように譲渡の承認手続きで、会社が知っていれば株主名簿を合わせて変更するでしょう。
ただ、この売買や贈与などは、会社が知らない場合もあります。

すぐに思いつく話としては、上場株式を売買した時ではないでしょうか。
でも、上場株式を売買しても会社に連絡などしないですよね。
しかし、株主総会の案内は届くのではないでしょうか。

頻繁に売買されるので、あまり意識されていませんが、上場している株式を證券会社経由で購入した場合、證券会社などが連絡してくれます。
この連絡があったタイミングで株主名簿に記載されます。

しかし、非上場企業では、元株主の人や新しく株主になった人から連絡が無ければ、株主名簿に記載するためのタイミングがありません。
このため、会社が株式の譲渡を知らない場合、会社へ株主が変わったことを連絡する必要があります。
この連絡を受けて会社は株主名簿の記載を旧株主から新株主に変更します。

しかし、この新しい株主の内、以下の条件のどれか一つにあてはまる株主はこの株主名簿に記載をさせるための連絡を制限することができません。

  1. 相続その他の一般承継
  2. 株式売渡請求による売渡株式の全部の取得
  3. 吸収分割又は新設分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の承継
  4. 株式交換又は株式移転による他の株式会社の発行済株式の全部の取得
  5. 端株の競売以外の方法での売却
  6. 競売

譲渡制限株式の取得を承認するか否かの決定を請求する権利

譲渡制限会社の場合、会社が株式の譲渡を承認しないと譲渡できません。
先ほどお話したようにこの譲渡を会社が知らない場合もあります。
知らない会社が承認することは無いので、譲渡するには、会社に承認をしてくれるように、伝えなければなりません。
この会社に承認してほしいと伝えることを制限できません。

株式売渡請求により特別支配株主が売渡株式の取得の対価として交付する金銭の交付を受ける権利

特別支配株主とは、定款で別の規定をしていない限り、総株主の議決権の10分の9以上の株を有している人などを言います。
尚、グループ企業などで合計して10分の9以上になる場合も含まれます。

このような株主は、他の株主から株式を売却するよう求めることができます。
この売却の時に支払われる金額の交付を制限できません。

株式会社が行う一定の行為により金銭等の交付を受ける権利

以下の一定の行為を会社が行った場合に受け取る金銭の交付を制限できません。
  1. 株式の併合
  2. 株式の分割
  3. 新株予約権無償割当て
  4. 剰余金の配当
  5. 組織変更

株式会社が行う一定の行為により交付される金銭等の交付を受ける権利

以下の一定の行為を会社が行った場合に受け取る金銭の交付を制限できません。
  1. 吸収合併 当該吸収合併後存続するもの
  2. 新設合併 当該新設合併により設立されるもの
  3. 株式交換 株式交換完全親会社
  4. 株式移転 株式移転設立完全親会社

次回は、今回の話とは逆の単元株未満の株式を持つ株主ができることについてお話します。

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