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議決権の数を減らせませんか? ~ 株式の併合について1 ~

今回は、前回お話しました、ご質問の対応方法である、単元株制度ではないもう一つの方法、株式の併合についてお話します。 ご質問は、「自社の株数が多いので、株主総会での議決や管理が大変です。
簡単にすることとか、何とかなりませんか?」という内容です。

議決権の数について

議決権の数を調整する方法について

議決権の数を減少する方向で調整するには、以下の2つの方法があります。
  1. 単元株制度を使用する
  2. 株式を併合する
今回は、株式を併合することについてお話します。

株式を併合するとは?

複数の株式を合わせてそれより少ない株数にすることです。
結果的に株式の数が減少します。

例えば、10株を1株に併合するというようなことです。
これで、株式の数は10分の1になります。

株式の併合はどうやってきめるの?

単元株制度に比べると、この株式の併合は、株主に与える影響が大きいです。

何故かというと、株主ではなくなる事があるからです。

単元株制度の場合、議決権は無くなっても、株主でなくなることはありません。
それに対して、この株式の併合では、株主でなくなることがあります。

株主でなくなる理由を、先ほどの10株を1株に併合する場合を例にお話します。
この会社の株を1~9株だけ持っている株主は、併合により10分の1になると、0.1~0.9株の所有者になります。
0.1株単位で、株式を持つことができるの?と疑問が生じる方もいらっしゃると思います。
この0.1株など1株に満たない株端株と呼びます。

会社法の前にあった商法ではこの端株を持つことができました。
しかし、現在の会社法では持つことができなくなっています。
その代り、端株が生じる場合は、端株に相当する株式を競売などにより売却して、その代金を株数に応じて株主に払うことになりました。
競売などとしているのは、上場株式の場合、競売より簡単に売却ができるため、市場価格にすることができるためです。
また、裁判所が認めれば競売に限らず、その他の方法での売却もあります。

端株が発生すると、端株が競売などにより売却されてしまうので、結果的に端株を持つことができないことになります。

このように、株主にとっては株主でなくなるという大きな問題です。
このため、株式の併合を決めるには単元株制度のように単純に株主総会で決めて定款に記載するだけではなく、手続きが必要になります。

株式の併合の手続きは?

株式の併合に必要な手続きは以下のとおりです。

  1. 取締役は株主総会で株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない
  2. 株主総会で定められた事項を議決しなければならない
  3. 株主及びその登録株式質権者に対し、定められた事項を通知しなければならない
  4. 株式の併合に関する事項に関する書面等の備置き及び閲覧等させなければらない
  5. 株主からの意見を聞かなければならない
  6. 株主から株券を提出させなければならない

それぞれについてもう少しお話します。

取締役は株主総会で株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない

何度もお話するように、株主からすると、大きな影響があります。
株主でなくなる人は併合をしてほしくないこともあるでしょう。

それを取締役がそれを行おうとするのです。
やってほしくない株主からすれば、なぜ、株式の併合をする必要があるのか理由を聞きたいでしょう。

このため、取締役に株主総会での株式の併合を必要とする理由の説明義務があります。

株主総会で定められた事項を議決しなければならない。

株数が変わるという大きな変更なので、以下のように単元株制度の比べて決めなければならないことが多いです。

  1. 併合の割合
  2. 株式の併合の効力が発生する日(効力発生日)
  3. 種類株発行会社の場合は、併合する株式の種類
  4. 効力発生日における発行可能株式総数

併合の割合

単純に何株を何株にするのか?を決めることです。

株式の併合の効力が発生する日(効力発生日)

この後お話するとおり、意見を聞いたり、株券を提出させたりなど、時間が必要になります。
この時間を考慮して、効力発生日を決めることになっています。

種類株発行会社の場合は、併合する株式の種類

種類株を発行している会社の場合は、どの種類株を併合するのか決めるということです。
ちなみに1種類だけではなく、2種類以上や全種類ということもできます。

効力発生日における発行可能株式総数

「発行可能株式総数について」でお話したように、公開会社の場合は、発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍以内でなければなりません。
株式を併合したことにより、発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超える場合がありえます。
このため、併合後の株数を考慮して発行可能株式総数を決め直すのです。

では、4倍の制限のない譲渡制限会社の場合も必要なのでしょうか?

回答としては必要です。

併合により発行済株式数が減少するため、発行できる株式数が増加することになります。
このため、併合後の株数を考慮して発行可能株式総数を決め直した方が良いこともあるでしょう。
発行可能株式総数を決め直す必要が無いこともあるでしょう。

このため、併合前と同じ(実質的には変更なし)と決めることができます。

同数としても、決める事には変わりないです。
この発行可能株式総数は定款の記載事項ですので、変更するには定款変更についてでお話したように、特別議決が必要です。

長くなりましたので、残りは次回お話します。

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