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善管注意義務 ~ 取締役の義務について ~

取締役の義務についてご質問をいただくことが増えたので、2回に分けて、ご紹介します。

取締役の義務とは?

取締役の義務

取締役の義務を大きく分けると次の2つです。

  1. 善管注意義務
  2. 忠実義務

今回は、最初の「善管注意義務」について、次回「忠実義務」についてお話をします。

善管注意義務

どうして必要?

「善管注意義務」とは、民法の委任の規定から生じる義務です。
役員と従業員の違いとは?でお話をしたように、役員である取締役は、雇用契約ではなく、会社との間で委任契約を結びます。
委任契約は、一言で言うと、「他の人に○○を行うことを依頼(委託)してやってもらう」契約です。
会社の場合、「会社が会社の経営を依頼(委託)して、取締役に経営をしてもらう」契約をします。
このため、取締役は会社と委任契約をしているのですから、委任で必要とされている「善管注意義務」を負うことになります。

意味

「善管注意義務」は、委任の条文にある「良な理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」という規定を略した言葉です。

民法には、もう一つ「自己の財産に対するのと同一の注意をもって、(略)義務を負う」という規定があります。
自分の財産であれば、自分の考えで好きにできます
雑に扱おうが、丁寧に扱おうが、自由です。

それに対して、「善管注意義務」は、自分の考えで好きにできません
他人の考える注意の義務を負うのです。

委任は、先ほどお話したように、他人から依頼されていますから、取り扱う財産には、他人の財産を含みます
自分の財産を含む場合もありますが、それだけではないので、その財産の持ち主の了承が必要です。
それでは、持ち主に毎回確認しなければならないのでしょうか?
そうではありません。 いちいち確認していては、依頼した意味がないでしょう。
特に、委任の場合、依頼することを自分より良く知っている人にお願いすることが多いので、確認されても困る場合もあります。
このため、自分の財産よりもより注意するだけではなく、良く知っている人として当然求められるような注意深さで依頼した内容を行ってもらうようにしました。

このことを会社の場合に当てはめまると次のようになります。
会社の場合は、財産の持ち主は、株主です。
株主は、経営を良く知っている人ではないこともあります。
経営を自分より良く知っている人として取締役に委任しているのです。
このため、取締役であれば、当然求められるような注意深さで、会社を経営しなければならない義務を負うようにしました。
これが、取締役の「善管注意義務」です。

実際には他の会社を経営しているような、経営をよく知っている人が株主の場合もあります。
株主が経営できるのであれば、取締役として経営に参加すればよいのです。
また、一人一人に経営できるかを確認して、経営を行うのは難しい場合もあります。
このため、取締役でなければ、知らない人と同じでという考え方をします。

次回は、「忠実義務」のお話です。

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