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監査役の後任が決まらない。。。任期が分からない。。。 ~ 役員の任期に関する諸問題について ~

「現在監査役になっていますが、後任が決まりません。。。辞めたらどうなりますか?」「監査役の任期を確認したいのだが、確認の仕方は?」とご質問頂いたので、こちらでご紹介します。

役員任期の原則

任期の原則については、下記の通り既にお話していますので、そちらをご覧ください。
役員により異なります。

  1. 取締役とその任期
  2. 監査役その任期
  3. 会計参与その任期
  4. 会計監査人その任期
  5. 代表取締役その任期

役員任期の終了

「現在監査役になっていますが、後任が決まりません。。。辞めたらどうなりますか?」についての回答は、すでに「取締役や監査役などの会社役員が辞めた場合はいつ辞めることになりますか? ~ 役員の任期の終了について ~」でお話しています。
一言で言うと、「後任が居るかどうかの問題ではなく、会社法や定款の規定によって、変わります。」となります。

役員の任期の確認の仕方

「監査役の任期を確認したいのだが、確認の仕方は?」についての回答です。
実は、制度的に難しい問題もあり、外部からは簡単に確認できません。

「会社の謄本(登記事項証明書)を見ればわかる」というお話も聞きます。
「謄本」は昔の呼び方で、現在は「登記事項証明書」と呼ばれます。
が、今回のお話では、一般的に使われていて、わかりやすいように「謄本」で統一します。
ただ、この「会社の謄本を見る」方法では正しい任期が確認できないことがあります。

任期の原則

各役員の任期は原則、「選任後○年以内終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」となっています。
この「○年」の部分が問題になります。

会社登記簿には「再任」や「就任」に記載があります。
登記事項証明書を入手して、その記載から期間(「○年」)がわかるというのが、「会社の謄本を見ればわかる」の根拠です。

しかし、これでは正確な期間が分からないことがあるというのが今回のお話です。

任期が分からない理由

上記の各役員の任期の原則の部分で話しましたが、「○年」の部分、役員による違いの他に、下記のように決め方の問題もあり、会社によって一律ではありません。
  1. 会社法の原則
  2. 定款による変更
そこで、どの方法で対応しているかがわかるように、原則でお話した「会社の謄本」のお話が出てきます。
既にお話したような理由で、期間がわかることが根拠となっています。

ところが、実際には、下記のような理由で、「会社の謄本」から各役員の任期が分からなくなります。
  1. 定款にある任期の期間を変更した場合・・・「○年」が変わる
  2. 定款にある事業年度を変更した場合・・・「終了する事業年度」が変わる
  3. 選任日と就任日に期間がある場合・・・「選任日」っていつ?
代表例として上記の3項目をお話します。
この3項目で、任期がわからない原因が説明できます。
もう一度原則を記載します。
原則:「選任後○年以内終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」

定款にある任期の期間を変更した場合・・・「○年」が変わる

定款で役員の任期が変更できる場合、定款を変更すると任期が変わります。
任期を変更するために定款を変更したのですから、当たり前ですね。
ところが、この定款変更、ご覧になった方は分かると思いますが、「会社の謄本」には記載されません。
このため、任期が変更しても、「会社の謄本」からは分かりません。
確認には、最新の定款が必要となります。

定款にある事業年度を変更した場合・・・「終了する事業年度」が変わる

定款で事業年度(※)を変更した場合、任期の「○年以内」が該当する場合があります。
すでにお話した原則の部分では「終了する事業年度」となっていました。
この場合、事業年度が変わるのですから、任期も変動します。
こちらの変更も、任期の変更同様、「会社の謄本」には記載されません。
このため、任期が変更しても、「会社の謄本」からは分かりません。
最新の定款を確認する必要があります。
※すでに「事業年度について」でお話していますので、ご興味のある方はご覧ください

注意が必要なのは、短縮だけではなく、延長する場合もあるということです。
「○年以内」に該当すればよいので、短縮される場合だけではありません。
短縮するだけだと思い込まれている方もいらっしゃいますが、そうとも言い切れませんので、ご注意ください。

選任日と就任日に期間がある場合・・・「選任日」っていつ?

3項目の中で一番問題なのは、この項目です。
「会社の謄本」には、「就任」や「再任」の記載があります。
しかし、「選任後○年以内」の「選任日」の記載はありません。
株主総会での「選任」後、「就任」を承諾するまでに時間が係るなど、いろいろな理由により、実際の「就任日」が遅くなった場合、「会社の謄本」の「就任日」の記載と、任期がずれることが起こりえます。
この場合、「就任日」が「選任日」と近いと想定して期間を想定することはできません。
実際の「就任日」が遅くなったかどうかは「会社の謄本」からは分かりません。
「選任」したことの記載のある株主総会の議事録などを確認しなければならないことになります。

まとめ

各役員の任期の確認には、最新の定款選任した株主総会議事録を確認しないと、正確には分かりません。
任期の知りたい役員が居る会社が見せてくれればよいですが、そうでないと正確な任期は分からないことになります。
問合せや見る方法など「会社の謄本」を入手するように簡単にはできないことになります。

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