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制限:図書館でのコピー
- 投稿日:2013-12-06
- 最終更新日:2014-04-14
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- カテゴリ:著作権の制限
著作権の制限事項の種類については、著作権の制限事項についてを参照ください。
本編では、わかりやすくするためにコピーについてのみお話していますが、『複製』はコピーだけではありません。
合せて『複製権』についても参照戴ければ、理解が深まります。
『図書館等における複製等』と『等』が2つもあってわかり難いので、分割してお話をしていきます。
最初はこちらから・・・
『図書館等』とは?
著作権法では以下のように定められています。国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下「図書館等」という。)
(著作権法第三十一条 抜粋)
いつものように分解していきますと以下のようになります。
- 国立国会図書館
- 記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館で政令で定めるもの
- その他の施設で政令で定めるもの
一つ目は国会図書館と呼ばれる国立の施設です。
自費出版などを除く、一般に流通している本(書店で売っている本)が一冊は必ずある(はずの)、とても大きな図書館です。
二つ目の図書館は、市(区町村)立図書館や県立図書館など広く知られている施設なので、イメージしやすいです。
尚、別途お話しますが、大学などの教育施設の図書館は含みませんので、ご注意下さい。
三つ目のその他の施設って何でしょうか?
児童書がおいてある児童館をイメージしていただくと良いかもしれません。
政令で定められる施設なので、全てが該当することはないのでご注意ください。
『複製等』とは?
『複製』『等』となっているので、『複製』ができることは分かります。それでは、『等』は何を意味するのでしょうか?
エンジニアにはほとんど影響はないですが、気になる方がいるかもしれませんので、念のためお話します。
「国立国会図書館が所蔵資料を電子化できる」と言うことを意味しています。
電子化してどうするの?と言う疑問もあるかもしれませんので、簡単に紹介します。
- 滅失、損傷若しくは汚損を避けるため
- 当該原本に代えて公衆の利用に供するため
- 必要と認められる限度内であること
古い資料もあるので、触っただけで破けるようなものも保管されていることは想像できるでしょう。
二つ目は、ネットでも見ることができます。
「国立国会図書館デジタル化資料」として公開されています。
三つ目は無制限に電子化することはできないということです。
公開を目的として全てを電子化すると、公共機関であっても、著作権者の権利を侵害することになります。
このため、必要な範囲と認められる著作物については電子化を認めるという趣旨です。
国立国会図書館に制限がある事は分かりましたが、一般の図書館等にも制限があるのでしょうか?
『図書館等』での条件とは?
以下のような制限があります。- 営利を目的としない事業であること
- コピーを行う主体は「図書館等」であること
- 「図書館等」が所蔵する資料をコピーすること
- 次の条件のどれかに当てはまること
- 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分の複製物を一人につき一部提供する場合
- 図書館資料の保存のため必要がある場合
- 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合
4番目の条件の最初以外は、関係がほとんどないので、最初の部分をもう少し分解します。
- 図書館等の利用者の求めに応じる場合
- その調査研究のため
- 公表された著作物の一部分
- 一人につき一部提供する場合
人気の著作物を需要がありそうだと予測して複写することはダメと読めます。
二つ目は、調査研究のためであること。
観賞用とか営利目的ではダメで、調査研究目的であれば企業であっても、コピーなどができると読めます。
三つ目は公表された著作物で、かつ、その一部であること。
図書館といえども全部をコピーしてはダメですし、公表されていない物はダメと読めます。
公表されていない著作物が図書館にあることはあまり考えにくいですが、あったら注意が必要ですね。
四つ目は説明はいらないですね。
一人につき一部であることです。
最新の技術書があることは少ないですが、入門書など有益な書籍もあるので、新分野に挑戦する時など利用してみると良いかもしれません。
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