ビジネス初心者のための契約書入門

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解約条項がないとき

解約条項がないときの扱われ方についてお話します。
解約条項って何?という方は、解約条項についてを参照ください。

解約条項がなく、法律に別段の定めがない場合は、いきなり解約はできません。
ここでいう法律とは、保険業法や宅建業法、金融商品取引法などの各種業者を規制する法律(業法)、消費者契約法など消費者保護の法律など、いろいろな法律で定めがあります。
また、上記の法律ではない場合でも、解約したい場合は、契約が業者に関係する場合は業法を、消費者契約法に定める消費者であれば、消費者契約法などを参照すると、別段の定めがある場合もあります。

解約の条件

民法では、下記の3つの解除権があります。
  • 履行遅滞等による解除権(民法541条)
  • 定期行為の履行遅滞による解除権(民法542条)
  • 履行不能による解除権(民法543条)
この3つの解除権の条件に当てはまれば解約できることになります。

履行とは、わかりやすく一言でいうと、契約でやると決まっていることです。
遅滞は、遅れることですね。

まとめると、3つ解除権とも、契約が守られなかったから解約する時の規定です。
契約がきちんと守られているのに、自分から解除したい時には使えませんので、ご注意ください。

解約の手順

解約するための手順として、履行遅滞等による解除権(民法541条)に定められた以下の手順をご紹介します。

  1. 相当の期間を定めてその履行の催告する
  2. その期間、履行を待つ
  3. その期間内に履行がないときは、契約を解除できる

解約後のお話

実務的には、解約の場合、契約の白紙撤回(なかったことにする)ことはせず、解約までに行われたことは、有効とします。
このため、解約したから全く代金を支払わないというようなことはしません。

厳密には、解約により代金を払わなくてもよくなります。
が、解約までの契約の期間中に行われたことの対価は払わなければならなくなります。
行われたことに何らかの利益があるのであれば、その分は返さないといけませんよね。
利益があるかどうかなど、実務的にはいろいろ議論が必要なところになります。

解約の手順と解除後のお話の関係

これだけだとイメージしにくいかもしれませんので、酒屋さんに配達を依頼した時を例にお話します。

酒屋さんに銘柄などは指定せず、日本酒の一升瓶9本の配達を頼んだとしましょう。
ところが酒屋さんは、日本酒6本だけ持ってきたとします。
頼んだのは日本酒9本ですからあと3本足りません。
そこで、近所の酒屋さんなので、「本日中に残りの日本酒3本を持って来て」と配達に来た酒屋さんに言ったとします(1番目の催促です)。
「店に戻ったらすぐ持ってくる」とのことでしたので、届けてくれるのを待ちました(2番目の待ち時間です)。
しかし、翌日になっても、酒屋さんは残りの日本酒3本を届けてくれませんでした。
そこで「もう日本酒はいいです!」と酒屋さんに解約の連絡を連絡しました(3番目の解除です)

この場合、最初に届けられた日本酒6本はどうなるのでしょうか?
(1)届けられた日本酒6本分の代金を払う
(2)届けられた日本酒6本を返す
このどちらかではないでしょうか。

先ほど、「実務的には」とお話したのは(1)の方法、「厳密には」とお話したのは(2)の方法を例えてみました。

但し、この部分も、法律で別段の定めがある場合があるので、注意が必要です。

論点・争点

解約手順のなかで論点・争点になるは、最初は相当の期間です。
相当な期間とはでもお話しました通り、この期間は、色々な要因で異なるので、一概にどのくらいとは言えないです。
この期間をどのくらいにするかが当事者間で異なることで、問題になることがありますので、期間設定が重要になってきます。

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