ビジネス初心者のための契約書入門

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間違いやすい権利の移転時期

前々回、権利の移転時期の原則のお話をしました。
今回は、間違いやすいとお話をしていた部分のお話です。

間違いやすい権利の移転時期

間違いやすいのは?

間違いやすい権利の移転時期とは、下記の2つです。

  1. 所有権と知的財産権
  2. 知的財産権と知的財産権

それぞれについてお話をしますが、先に、基本的な考え方をお話します。

基本的な考え方

権利が異なる場合、一つの権利を移転しても、他の権利は移転しません
良く間違われるのが、この「他の権利が移転しない」という部分です。
このまま聞くと、わかる方が多いです。
しかし、実務になると、案外間違われることが多いです。
このため、例をあげてお話をします。

所有権と知的財産権

別の権利

所有権と知的財産権は、別の権利です。
このため、所有権だけ移転しても知的財産権は移転しません。
基本的なお話でしたように、その逆も同じです。
良く間違われる「書類」を例としてお話をします。

書類の権利移転

「説明を紙に印刷した書類の権利を移転した」場合です。
書類の権利移転では、次の2つの権利が関係します。

  • 所有権:書類という紙の所有権
  • 著作権:書類に記載されている文章の著作権

契約書では、多くの場合、納品などとして、紙についての記載はあります。
しかし、著作権についての記載がない場合があります。
著作権の移転が記載されていない場合、著作権がないので、書類をコピーすることもできません。
書類の所有権を得たのだから、コピーはできると勘違いされることが多いのです。
所有権だけではなく、著作権を移転することも忘れないようにしましょう。

知的財産権と知的財産権

別の権利

知的財産権とは」でお話をしているように、知的財産権は、複数の権利の総体で、それぞれの権利は、別の権利です。
このため、「基本的な考え方」でお話をしたように、一つの権利を移転しても、他の権利を移転することはありません。

営業秘密と著作権の権利移転

知的財産権の一つである「営業秘密」を書類を作成して移転したとします。
書類の所有権の話は既にしていますので、割愛します。
「営業秘密」の権利を移転したのですから、「営業秘密」は移転しています。
しかし、「営業秘密」が記載された書類の文章の著作権は移転していません。

注意

今回のお話では、「書類の文章」の著作権を例にお話をしています。
注意することは、「書類の文章」が全て著作権で保護されるわけではないということです。
基本的な考え方として、著作権で保護されるためには、「創作的な思想や感情の表現物(=著作物)」であることが必要です。
著作物ではない場合、著作権がない「書類の文章」ですから、今回のお話には該当しません。

その他の知的財産についても、権利が発生する条件がある場合もありますので、権利が発生しているか?などは注意が必要です。

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