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危険負担について

危険負担についてです。

危険負担という言葉をまず、説明しないといけないですね。

危険負担とは?

危険負担とは、簡単に言うと、危険な事項が起きた時に負担するのは誰?という意味です。

これだけではわかり難いので、車の売買を例にお話します。

契約締結前

契約をする前に車に危険な事項が起きた、例えば落雷で壊れた・・・場合、車の持ち主である売主は、下記の二つの選択肢があります。
  1. 修理する
  2. 故障したまま買う人を探す
修理するなら修理代は売主が負担します。
故障したままであれば車の代金は安くなるでしょう。
どちらの場合も、売主がマイナス分を負担をします。

引渡し後

逆に、車を引き渡した後に、落雷で壊れれば、買主が修理することになるでしょう。
修理しない場合でも、使えなくなりますから、どちらにしても、買主がマイナス分を負担します。

その間は?

それでは、契約をした後、車を引き渡す前に、落雷で壊れた場合はどうなるのでしょうか?
これが危険負担です。

例では車が壊れたとしましたが、モノによってや危険の内容によっては、モノが無くなることも考えられます。
契約を完遂するには、この壊れたり、無くなった契約対象物(モノ)を修理するなどしないといけないです。
例でお話したように、修理する場合は、当然、費用(修理代)が掛かります。
この費用(修理代)を誰が出すのか?を決める契約です。

では、最初に、費用負担する誰について考えてみましょう。

費用負担するのは、通常、原因事項を起こした人になるべきです。
では、原因事項を起こす人を以下のように分類して考えてみましょう。

  1. 原因が契約の関係者の場合
  2. 原因が第三者の場合
  3. 原因が人でないの場合

原因が契約の関係者の場合

危険と呼ばれる何かが起こったとき、それが契約の関係者が原因であれば、通常、原因事項を起こした契約の関係者が修理代を負担するでしょう。

例えば、家を建築する契約をしていて、大工さんが家の柱を運ぶときに柱に傷を付けたとします。
傷つけた柱は、(契約の関係者である)大工さんや建築会社が交換するのが一般的でしょう。
建築の一般的な契約書では、大工さんが原因であれば、大工さんが直すと記載されているので、建築を依頼した人が払うことはほぼありません。
このように、契約の当事者の一方が原因事項を起こしたときは、原因がわかりやすいことが多いので、比較的、論争が起きません。
とは言いながら、双方に原因がある場合もあるので、単純に決まらないこともあります。
また、契約内容によっては、納得いかない結論になることもあります。。。

原因が第三者の場合

原因事項を起こしたのが、第三者である場合はどうでしょうか?
例えば、購入した車を自分の家に納車してもらうため、運送中の車に、後から第三者の運転する車が突っ込んだとしましょう。
この場合、誰が修理代を負担するのでしょうか?
運送していた販売店?それとも購入者?
いえいえ、車を運転していた第三者と考えられますよね。

では、この第三者に費用を請求するのは、誰でしょうか?
運送していた販売店?それとも購入者?どちらでしょうか?
また、修理するにしても、購入者はせっかく購入した新車が、修理した車では嫌な場合もあるでしょう。
その場合は、修理ではなく、新しい新車と交換になるかもしれません。
この交換になる交渉を第三者とするのは、誰でしょうか?

第三者は当然、契約の当事者ではないので、この契約では出てこないのですが、それでは、誰が何を請求をするのかはっきりしません。
このため、第三者によって何か起こったときの対応方法を危険負担として契約書に定めます。

原因が人でないの場合

第三者以外にあり得るの?というお話も聞こえてきそうですが、契約内容によってはあり得ます。

例えば、先ほどの車の場合を例に考えてみましょう。

納車するために、駐車場に止めていたところ、雷が落ち、動かなくなったとしましょう。
先ほどの第三者が原因のときであれば、この第三者に費用負担を求めることもできます。
ところが、原因が雷など自然災害では、修理代を請求したくても、請求することができません。

第三者の時と同じように、修理費用なのか交換されるのかという問題はありますが、どちらにしても費用が掛かるので、
この費用を誰が負担するのか?という問題が発生します。
販売店でしょうか?それとも購入者でしょうか?
雷が落ちるというあまり起こらないケースかもしれませんが、起こる可能性がないわけではありません。
雷ではなく、地震ではの場合は?など、自然災害が原因の場合はあり得ます。

この場合、契約者双方は費用負担したくないので、争いが起こりえます。
このため、先に契約書で定めておく必要性が出てきます。

では、どのようなことを定めればよいのでしょうか?

危険とは?

危険負担で定めておくべきことは、どのようなことでしょうか?

考えることは、危険な事項が起こった後の契約対象物の状態によって異なってきます。
いろいろな状況が考えられるので、状況に応じて契約することになります。
全てを網羅することは難しいので、大枠の例として3パターンあげてみます。

前からお話ししている車に雷が落ちたケースを例に説明します。

契約対象物が無くなった場合

雷で車が跡形もなく無くなることはないかもしれませんが、説明のためお付き合いください。
例えば、雷が落ちて爆散したとしましょう。
運悪く、ガソリンに引火したのかもしれません。
この場合、修理というよりは、代わりの車が必要になります。
この代車の費用は誰が負担するのか?を定めます。

契約対象物は存在するが契約の目的を満たさない場合

契約の目的を満たさない場合とはどのような状態でしょうか?
クラシックカーとことなり、新車を購入したということは、運転できる状態の車が欲しくて購入しているはずです。
ところが今回の例のように、車が運転できる状態で無くなった場合、どうでしょうか?
購入者は運転できない車を欲しがるでしょうか?
通常、運転できる車にして欲しいと考えるはずです。
このように、『運転できる状態の車を購入』する契約の目的を満たさない状態を言います。
では、この場合の対応は?
修理する?か、代車を用意する?かのどちらかになるはずです。
どちらにしても費用が掛かるので、この費用は誰が負担するのか?を定めます。

契約対象物は存在し、契約の目的を大部分は満たす場合

契約の目的を大部分は満たす場合とはどのような状態でしょうか?
例えば、雷により天井の塗装が焦げているような場合です。
その他に異常が発見され無ければ、塗装のし直しで済ませたいのが、販売者側の考えでしょう。
でも、いくら異常が発見されなかったとはいえ、購入者は異常が出るかもしれない車は欲しくないのではないでしょうか。
このような場合に、どうするか?その費用は?を定めることになります。

大部分は満たすの定義がそれぞれにあるので、あまり良い例ではないかもしれません。
契約書上の条文にするのであれば、例えば、このような状態とはっきりするような条件を設定して、交渉したほうが良いです。

続いては、契約違反した場合の対処条項について考えましょう。

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