ビジネス初心者のための契約書入門

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前書き(前文)について

前書き(前文)

記載の要否

ひとつ前のお話しの契約当事者の表示と同様に、こちらも契約書によっては、ありません
ただし、
  • 契約当事者の表示
  • 前書き(前文)
  • 目的条項
のどれかがあることがほとんどです。

どれかが必要な理由

必要な理由は、次の2つです。

  1. 契約の当事者を分かりやすくするため
  2. 契約当事者の表記を簡素化するため

契約の当事者を分かりやすくするため

前回、契約書では、甲乙などの表記で簡素化するとお話をしました。
この甲乙の表記は短くなりますし、多くの契約書で使われていますので、見慣れた人も多いです。
しかし、契約の当事者が誰であるかわかり難いという面もあります。
多くの場合、最後に契約当事者の署名捺印(記名押印)をする場所でも明記されていますが、最後を見ないとわからないというのも読み難いです。
この対策として、契約書の冒頭部分で契約の当事者を明示しておきます。
最初に明示があれば、その後の契約条項を読むときに分かりやすくなります。

契約当事者の表記を簡素化するため

契約当事者の表示の記載がない場合は、以下のような文が前書きに入っています。
契約当事者の表示と同じ、賃貸借例を例にします。

賃貸人 伊藤太郎(以下、甲という)および賃借人 株式会社富士山不動産(以下、乙という)   
この前書き(前文)以後の条文では、「甲」「乙」と略記します。
なお、前回、甲乙以外の表記方法のお話もしています。
この場合、甲乙を置換えて表記すれば同じです。

記載内容

記載内容は以下の項目が多いです。
記載がないことがあるくらいなので、必ずしも、すべてを記載する必要はありません

  • 契約表示者の表示方法
  • 契約の主たる目的
  • 抽象的な契約の内容
  • 契約の経緯など

契約表示者の表示方法

既にお話しした「甲」「乙」やそれ以外の表記のお話しです。

契約の主たる目的

土地の売買契約であるとか、建物の賃貸借であるとか、を表示します。

抽象的な契約の内容

土地の売買契約であれば、土地についての情報が書いてある契約書の場所などを表示します。
例えば、契約書に土地の情報が記載されているときは、
『後記土地について』『以下の土地について』などと表現します。

契約の経緯など

契約を交渉していた時の事情など、経緯を記載します。
経緯が分かると、契約条文で記載されている前提条件などが分かるので、わかりやすくなります。

ご注意

記載内容などにもよるのですが、次の目的条項と同じく、抽象的な記載になることが多いため、直接的な法的効力を持たないことが多いです。
書かれているから、効力があるとは言い切れないので、ご注意ください。

次は、目的条項(契約の内容)についてです。

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