ビジネス初心者のための契約書入門

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謄本・抄本は紙だけ? ~ 謄本と全部事項証明書などの違い ~

前回、原本・謄本・抄本の違いで、『「紙」と明確に言っているのは、「紙以外」は別の呼び方になる』とお話しました。
今回は、この「紙以外」の呼び方について、お話します。

紙以外

実務で使う「紙以外」の代表例は、前回、お話をした会社の「履歴事項全部証明書」です。
前回お話をした「原本・謄本・抄本」と対応関係があるので、お話をします。

対応関係

「原本・謄本・抄本」のそれぞれについて、お話をします。

原本

紙以外となったのは、電子化(=コンピュータ化)したためです。
電子化したのに伴い、「原本」は「データ」になりました。
データといっても、文字だけではなく、マイクロフィルム(写真)などもあります。

謄本

電子化に伴い「謄本」も「全部証明書」となりました。
前回、「謄本」は、「原本」と全て同じ内容であると証明するために作られた書類()とお話をしました。

「証明」は「証明」のままですが、「全て」は「全部」、「書類(紙)」は「書」と置き換えます。
それを文章の順番でつなげたのが、「全部証明書」です。

抄本

電子化に伴い「抄本」も「一部証明書」となりました。
前回、「謄本」は全部であるのに対し、「抄本」は「原本」の一部であるとお話をしました。
「謄本」が「全部証明書」なので、「抄本」は「一部証明書」になります。

「抄本」と同じく、実務的には、何を証明するのかが重要になりますので、記載内容に過不足がないようにしましょう。

履歴事項・現在事項

前回の質問では、「会社謄本」は「履歴事項全部証明書」となるとお話しました。
後半の「全部証明書」はお話をしたので、前半の「履歴事項」の部分をお話します。

履歴事項

「原本」は紙でしたので、現在までの履歴が残っています。
「履歴事項」は、「原本」の時と同じように「履歴」を掲載(=印字)します。

現在事項

しかし、データの場合、掲載(=印字)しないことも簡単にできます。
何かを証明することが目的の場合、現時点で有効でない履歴は不要な場合もあります。
この履歴で不要な部分を掲載(=印字)しない、現時点で有効な部分のみの場合を「現在事項」と呼びます。

補足

「全部」か「一部」かを問わず、「履歴事項証明書」や「現在事項証明書」と呼ぶこともあります。
会社の場合、「会社名」や「本店所在地」など、「履歴事項」であろうが「現在事項」であろうが、同じ掲載(=印字)です。
このような場合、受取る側からすると、「全部」か「一部」かは関係ないので、省略されて呼ばれることもあります。

「抄本」と同じく、実務的には、何を証明するのかが重要になりますので、「履歴事項」なのか「現在事項」なのかは、しっかり確認した方が良いです。

回答の続き

「謄本」は「原本」と同じ内容なので、「履歴事項」となります。
また、前半でお話をしたように「謄本」は、「全部証明書」となります。

この二つをつなぎ合わせて、「会社謄本」は「履歴事項全部証明書」となるのです。

「会社謄本」以外では、「戸籍」も電子化したので、同じ呼び方をします。
ちなみに「住民基本台帳」に記載されている「住民票」は「住民票の写し」と呼びます。
「戸籍」と同じく「住民基本台帳」も電子化されているのですが、違う呼び方をしています。
電子化された全ての場合で、今回ご紹介した呼び方をするとは限りませんので、ご注意ください。

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