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不当な経済上の利益の提供要請の禁止 ~ 親事業者の禁止事項【遵守事項】 その10 ~
- 投稿日:2020-12-21
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- カテゴリ:親事業者の禁止事項
15回目の今回は、第2項第3号で規定されている「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」のお話です。
目次
親事業者の禁止事項【遵守事項】
下請法が規定する「親事業者の禁止事項」は、第4条に規定されています。第4条は下記のとおり、第1項と第2項があります。
第4条
第1項
第1項では、下記の7種類です。- 受領拒否の禁止
- 下請代金の支払遅延の禁止
- 下請代金の減額の禁止
- 返品の禁止
- 買いたたきの禁止
- 購入・利用強制の禁止
- 報復措置の禁止
第2項
第2項は下記の4種類です。- 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
- 割引困難な手形の交付の禁止
- 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
- 不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止
不当な経済上の利益の提供要請の禁止
下請事業者から金銭、労務の提供等をさせることを禁止している規定です。下請事業者らか親事業者へ経済上の利益を提供させられることにより、下請事業者の利益が減少し困るこるので、禁止しています。
「金銭、労務の提供等」とは?
金銭の提供は、「下請代金の減額の禁止」と同じく、「提供の名目は問われない」です。「協賛金」「協力金」「品質管理指導料」「物流及び情報システム使用料」など、いろいろな名目で違反とされた事例があります。
労務の提供についても、「提供の名目は問われない」です。
「従業員の派遣」が代表例です。
「等」がついていますので、例に挙げたようなこと以外の「下請事業者の利益が減少」することについても、禁止です。
「等」には、次のような者が例にあります。
- 知的財産権の譲渡・許諾
- システム利用料等の徴収
- 無償の(安価な)技術指導
- 無償の(安価な)試作品の製造
知的財産権の譲渡・許諾
特許や実用新案など知的財産権の無料や安価での譲渡を要求したり、無料や安価での利用許諾を求めることです。システム利用料等の徴収
委託内容によっては、親事業者のシステムを下請事業者が利用しなければならない場合もあります。「下請代金の減額の禁止」や「購入・利用強制の禁止」と同様、親事業者が負担すべき費用を下請事業者から徴収することは禁止です。
そうはいっても、下請事業者が委託内容と関係のない利用方法をしたり、利用により利益を得る時までは禁止していません。
利益を得る範囲であれば、徴収するkとができます。
無償の(安価な)技術指導
技術指導を提供するには、下請事業者の人員の労務の提供が必要です。この人員の労務の提供が禁止事項に当たります。
無償の(安価な)試作品の製造
試作品であっても、作成するには、材料代などの費用が必要です。無料や安価の場合、実質的に、この費用が提供されることになるので、禁止事項に当たります。
「下請代金の減額の禁止」との違い
「下請代金の減額の禁止」と「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」の違いは、次のように、下請代金の支払とは独立して行われるかどうかです。- 下請代金の支払と同時の場合
「下請代金の減額の禁止」 - 下請代金の支払いとは関係ない場合
「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」
注意
「下請事業者の利益が減少」することが問題なので、下請事業が定価で販売するなどのように利益が減少しない場合は、禁止事項に該当しません。このため、親事業者が下請事業者に販売等の要請をしただけでは、違反になりません。
しかし、親事業者が下請事業者の利益が減少しないと明確にしないで提供させるのは、違反になりますので、ご注意ください。
次回は、禁止事項の最後となる第2項第4号の「不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止」です。
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