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匿名加工情報を作成する個人情報取扱事業の禁止事項

匿名加工情報を取り扱う「個人情報取扱事業者の義務」の概略については、既にお話しました。
今回は、この「個人情報取扱事業者の義務」の中から、禁止事項についてお話します。

  1. 加工
  2. 公表
  3. 提供
  4. 禁止事項
  5. 安全管理措置

禁止事項

禁止事項は大きく分けると次の二つです。

  1. 本人を識別するための利用禁止

本人を識別するための利用禁止

匿名加工情報は、加工前の個人を識別する目的で、他の情報照合することは禁止されています。
この「他の情報」には、制限がありません。
相手が、下記のいずれであっても、照合することは禁止です。
  • 他の匿名加工情報
  • (加工前の個人情報ではない)別の個人情報
  • 加工前の個人情報

ただ、個人情報取扱事業者ですから、「加工前の個人情報」を所有しています。
このため、加工前の個人情報として取扱い、その「加工前の個人情報」の利用目的の範囲内で、別の情報と照合することはできます。

本題からは離れますが、「なんだかよくわからない」「言葉遊び?」とお叱りをいただきそうなので、ポイントのお話をします。

ポイント

照合できるか否かのポイントは、次のどちらとして、その匿名加工情報を取り扱うか?です。
  • 個人情報として取り扱う
  • 匿名加工情報として取り扱う
匿名加工情報を個人情報として取り扱うのであれば、「個人情報取扱事業者の義務とは?」でお話をした義務を守る必要があります。
それに対して、匿名加工情報を匿名加工情報として取り扱うのであれば、今回を含めてお話をしている「匿名加工情報を作成する個人情報取扱事業の義務等とは?」でお話をした義務を守る必要があります。

言い換えると、その情報の取り扱いの違いで、個人情報取扱事業者が負う義務の内容や範囲が異なるのです。

匿名加工情報は個人情報ではありません。
匿名加工情報は「匿名加工情報とは?」でお話をしたように、「特定の個人を識別できない情報」であるのに対し、個人情報は、「個人情報とは?」でお話をしたように、「特定の個人が識別できる情報」であるためです。
識別「できる」か「できない」かの違いがあるのです。

個人情報ではない匿名加工情報を個人情報として取り扱うことができるのか?という問題があります。
結論から言うとできます
これを理解するには、情報に対する、次の二つをお話する必要があります。

  1. 人の認識
  2. 法的な規定

人の認識

「匿名加工情報」も「個人情報」も、「情報」です。
法的な定義で、「ある情報」を「個人情報」「匿名加工情報」と分けているだけです。
「情報」をどう取り扱うかは、取り扱う人に依存します。
人であれば、考え方を変えるだけですから、可能でしょう。

法的な規定

個人情報保護法には、「個人情報」を「個人情報以外の情報」として取り扱ってはいけないという規定があります
しかし、逆の「個人情報以外の情報」を「個人情報」として取り扱ってはいけないという規定はありません

規定がないのですから、禁止されていません。
このため、「個人情報以外の情報」である「匿名加工情報」を「個人情報」として取り扱ってもよいということになります。

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