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匿名加工情報の適正な加工方法の義務 その2

前回から引き続き、匿名加工情報の「個人情報取扱事業者の義務」の中から、加工に関連する義務についてお話します。

加工

加工に関連する義務は大きく分けると以下のように分けられます。

  1. 削除する個人情報
  2. 個人情報データベース等の情報
  3. 削除するその他の情報

前回「削除する個人情報」と「個人情報データベース等の情報」をお話したので、今回は「削除するその他の情報」のお話をします。

削除するその他の情報

「その他の情報」は大きく分けると次の2つになります。

  1. 元の個人情報にたどり着ける符号など
  2. 特異な記述など

元の個人情報にたどり着ける符号など

わかりやすい例としては、個人情報データベースでつけられた個別のIDです。
匿名加工情報に個別のIDが含まれていても、ID単体では個人が特定はできません。
このため、ID単体では、個人情報ではありません。
しかし、IDがあれば、個人情報データベースから、元になった個人情報が簡単に検索できます。
個人情報取扱事業者は、個人情報データベースを所有しています。
個人情報データベースがあれば個人が特定できますから、個別のIDを残しては、匿名にはなっていないとも言えます。
このため、個別のIDなどは削除又は置換が必要になります。

特異な記述など

IDのような符号ではなくても、特異な記述があれば、IDと同じように個人情報データベースから、元になった個人情報が簡単に検索できます。
例えば、年齢です。
一般的に年齢という場合、個人を特定できることはないでしょう。
しかし、これが、その時の日本人最高齢の方の年齢であればどうでしょうか?
最高齢の方がお一人であれば、特定できます。
複数人であっても、他の情報から特定できる場合もあるでしょう。
このため、特異な記述は、削除又は置換が必要になります。

なお、特異な記述に該当するかどうかは、悩ましい場合もあります。
一般論として、年齢と性別だけであれば、匿名化されているように考えます。
しかし、一部の年齢、例えば高校生などの場合、特異な記述になる場合もあります。

例えば、共学になったばかりの旧男子校や旧女子校の場合です。
このような学校の場合、男子又は女子が少人数、場合によっては一人ということもあります。
その場合、最高齢者の方と同じく、他の情報と合わせることにより、個人が特定できる場合もでてきます。
個人が特定できれば個人情報ですから、いくら加工しても、匿名加工情報ではありません

このように、一概にどのような情報であれば、「特異な記述」にならないとは言えないので、ご注意ください。


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