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不動産を相続させるために遺言をする時に気をつけるべき事
- 投稿日:2014-12-05
- 最終更新日:2015-07-07
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- カテゴリ:遺言
すでにお話していますが、不動産の相続は何かと考えなければいけないことが多いです。
今回は、今までお話していない、注意すべきことを中心にお話します。
目次
不動産を相続する遺言をする時に気負つけるべき事について
不動産を相続するとどうなるの?
「不動産しか主な財産がない方」や「2世帯住宅をお持ちの方」などで、既に不動産を相続させる時のことについてお話しています。同じ部分についてはそちらをご覧いただくとして、今回は、まだお話していない、不動産について考える部分について、お話します。
ローンは残りませんか?
住宅ローンなど、不動産を購入時に銀行から借入をして購入した場合、団体信用生命保険(通称、団信)がついていることがあります。少しお話がそれますが、団信のお話をします。
この団信は、借りた方が亡くなると、生命保険の保険金でローンを返済してくれるという生命保険です。
借金が無くなるので、相続人にはありがたい保険です。
保険というくらいですから、保険料を支払わなければなりません。 では、この保険料は誰が払っているのでしょうか?
この保険料は、借りた人が払っています。
決して金融機関が払っているわけではありません。
いや、保険料なんて払っていない・・・という方。
実は、返済金額に含まれています。
団信があるかないかで、金利が変わるようになっているのです。
実際には、保険料に相当する分を金利として上乗せしているので、団信が無い金利が提示されていないことも多々あります。
なぜ、このようなお話をするかというと、金利が安いので、団信がついていないローンを選択されている方がいらっしゃるからです。
また、生命保険なので、保険に加入できないなどの理由で、団信がついていないこともあります。
その様な団信無しのローンの場合、ローンの返済を誰がするのか?や不動産の時価に対して残高はどうか?というようなことを考えないと、相続した方が困ることもあります。
実際、相続時に負債が多いということも多くあります。
というのは、住宅ローンのような長期のローンを組まれている場合、相続時には、建物が老朽化して価値が無くても、ローンが残っている場合もあるからです。
こうなると、先ほどお話したように、相続後の返済などを考えなくてはいけません。
「相続財産の範囲について」でお話したように、ローンも相続財産なのですから、返済していかなければならないのです。
そのローン分を考慮しないと、相続人に不公平感が生まれることもあり、争続になることもあるのです。
ローン込みで相続した相続人は、返済金額によっては、相続財産とは考えないかもしれません。
ところが、不動産を相続しなかった相続人は、返済をしていないので、財産を多く相続したと考えることもあります。
これは、どちらが正しいとか間違っているというお話ではなく、そう考えることがあることです。
実際に相続が発生した時のローン残高にも依存しますので、遺言を作成する時に正確に予測することは難しいです。
正確に予測できるということは、ご自身の寿命が分かっている方です。
なかなかそういう方は少ないのではないでしょうか。
ただ、このような考えの違いが生じることがあることも考慮して、遺言をした方が良いというお話です。
その建物は使い続けられますか?
考えなければならないのは、建物の状態・・・経年劣化です。土地は経年劣化というのは考えにくいです。
事情によってはあるかもしれませんが、多くの場合、考えなくてもよいでしょう。
しかし、建物は違います。
ご自宅でしたら、ある程度、外見は気にされないかもしれません。
しかし、賃貸物件の場合はどうでしょう?
借りる方によっては外見を気にされることもあります。
ご自宅であっても、雨漏りや外壁の塗装など修繕は必要になります。
相続する時には建物は資産と考えていても、修繕費が必要となり、結局、支払いが多くなることは多くあります。
価値のある土地だけ売ってしまおうとしても、建物の解体等の費用がかかります。
不動産が資産というお話をずっとしてきましたが、維持や売却などのために支払いが多くなり負債になっていることもあるのです。
遺言書を書く時にはそれほどでもないと考えていても、相続が発生する時まで時間が経過し、結果的に資産から負債になることはあります。
不動産以外でも同じようなことが・・・
不動産の場合が特に顕著なので、例としましたが、他の資産でも起こる事です。株などの場合、毎日どころか、数秒で価値が変わります。
当然、それほど大きく変わらないこともあります。
しかし、大きな資産を株でお持ちの場合は、価値が全然違うということも起こりえます。
国債のような債券なら安定しているから大丈夫かというと、そうでもありません。
10年国債なら10年というように、国債などの債券には償還期限があります。
この期限が来ると、債券は現金になります。
遺言書では、国債を相続するとなっていませんか?
現金は別の相続人になっていたりはしませんか?
この場合、国債を相続するはずだった相続人は、不公平感を持つのではないでしょうか。
いろいろと考えた遺言書であっても、このように時間の経過により、意図せず相続財産の中身が変わることがあります。
このような時間の経過に対応するには、定期的に遺言書を作り直していかなければなりません。
作り直し自体は一度遺言書を作成されていれば、それほど難しい手続きではありません。
「遺言書は一度作ると変更できないの?」でお話したように、もう一度、遺言書を作成すればよいです。
相続財産の範囲については、既にお話していますが、時間の経過により価値が変わる財産をお持ちの方は、遺言書の定期的な見直しをされることをお勧めします。
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