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監査役とは? ~ 取締役を取り締まる人? ~

前回、取締役会についてお話したときに、監査役が必要とお話をしました。
この監査役とはどのような事をするのでしょうか?
今回は、監査役についてお話します。

監査役とは?

何をするの?

監査役とは、名前のとおり監査をする役目の人です。

何をするかの説明にはなっていないですね。

監査役は、取締役の活動が適正にかつ適法に行われているか?を株主に代わって、監査します。
違法行為だけを監査するのではありません。

前回の取締役会のお話で、株主総会で決めていたことが取締役会で決めることになるとお話しました。
この取締役会には、取締役ではない、一般の株主は参加しません。

このため、取締役だけで決めることになります。

それぞれの職務の報告の場である取締役会で、取締役同士がそれぞれの職務をチェックして、不正や違法行為を正すようなことができればよいです。
が、残念ながら、現実には、馴れ合い等々、そうでもないことが起こってしまいます。

そこで、取締役の活動を監査する専門の役目を持った人として、監査役が居るのです。

このため、監査役には、監査をするために必要な情報を収集することができる権限が与えられています。

どんな権限?

監査役には大別すると、以下のような権限があります。

  1. 取締役、使用人などから事業がどういう状況なのか?の報告を受けること
  2. 事業がどういう状況なのか?を独自に調査すること
  3. 取締役(会)へ報告すること
  4. 株主総会へ監査結果を報告すること
  5. 取締役の行為をやめさせる裁判所に訴えること

取締役、使用人などから事業がどういう状況なのか?の報告を受けること

監査のために、いつでも、取締役や使用人(従業員)などに報告を求めて、情報を入手できます。

いつでもがポイントです。
不正なことをしているかもしれないと気が付いたら、時期を待つことはできないでしょう。
このため、いつでも情報を入手できるような権限を与えられています。

また、不正には、子会社が関係することもあるため、子会社の取締役や使用人に対しても報告を求めることができます。

事業がどういう状況なのか?を独自に調査すること

不正なことをしていなくても、忙しいなどの理由で、監査役の求めに対し、素直に報告をしないかもしれません。
また、故意や過失で、間違った報告をすることも考えられます。
不正なことをしていれば、なおさら、正しい報告をしないで誤魔化そうとしてもおかしくありません。

このため、監査役は自身で独自に、業務や財産の調査をすることができます。

独自に調査することにより、不正なことが無いか監査できるようになります。

取締役(会)へ報告すること

不正が分かったら、取締役会に報告します。
このため、監査役は、取締役会の開催を請求することができます。

誰に請求するかというと、取締役会は取締役が招集しますので、取締役に請求します。
ただ、不正なことをしていれば、その報告させないために、取締役が取締役会を開催しない可能性もあります。

報告の場である取締役会が開催されないでは、調査しても意味が無いことになりかねません。

この対策として、取締役に請求しても取締役会が開催されないときには、監査役が取締役会を開催することができるようになっています。

取締役会を独自に開催できるので、なかなか強力な権限です。

尚、取締役会が無い会社の場合は、取締役に報告します。

株主総会へ監査結果を報告すること

監査しても取締役会や取締役に報告するだけでは、株主は何が起こっているのかわかりません。
株主に代わって監査するのですから、株主に結果を報告しなければ、大丈夫なのかがわからないです。
このため、監査役は、株主総会の議案の確認や監査結果を株主総会で報告しなければなりません。

取締役の行為をやめさせる裁判所に訴えること

監査結果を取締役や取締役会に報告しても、取締役がやめないことはあるでしょう。
その様な場合、裁判所に取締役の行おうとしていることをやめるよう、訴えることができます。
株主に代わって監査した結果が反映されなければ、監査し、報告した意味がなくなるためです。

非常に強力な権限です。

監査の対象は?

監査の対象は、監査役の権限によって異なります。
この監査役の権限は定款で定めることができます。
具体的には、次の2つになります。

  1. 会計監査のみ監査できる
  2. 会計監査に限らず会社の全般を監査できる

会計監査のみ監査できる

会計帳簿などの会計に関する報告を受けて、監査します。
勘違いされがちなのは、会計の監査に関係するのであれば、事業などの調査はできるということです。
帳簿しか調査できないわけではありません。

例えば、帳簿の記載が合っているかどうかは、実際の活動内容が分からないと判断できないものもあります。
この場合、会計の監査に必要な行為ですので、調査することができます。
調査できなければ、正しい判断ができないのですから、あたりまえかもしれません。

会計監査に限らず会社の全般を監査できる

会計監査を含めて、会社に関係することは全て監査します。

全般の監査をするのですから、報告や調査に制限はありません。

上場企業のような大きな会社の場合、監査役というと、この全般を監査する監査役です。

定款で定めることができるのですが、大会社や公開会社であるかなど、会社の状況によっては、会計監査のみの監査役とすることができない場合があります。
どのような場合かをお話する前に、次回は、大会社や公開会社の定義についてお話します。

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