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議決権の数を減らせませんか? ~ 単元株制度について ~

自社の株数が多いので、株主総会での議決や管理が大変です。
簡単にすることとか、何とかなりませんか?というご質問がありましたので、こちらで回答します。
よくお話を聞くと、1株1円で起業をし、同じ価格で増資を繰り返したら、株主によって株数のばらつきが大きくなり、株主総会の議決で足し算が大変になった。
また、株数の少ない株主にも総会の案内を送るなど、割に合わないと感じることが出てきた。
そのような状態を何とかしたい。というのが相談理由でした。
方法は一つではないので、そのお話をいたします。

議決権の数について

議決権の数を調整する方法について

議決権の数を減少する方向で調整するには、以下の2つの方法があります。
  1. 単元株制度を使用する
  2. 株式を併合する
両方の制度内容をお話しすると長くなるので、今回は、単元株制度についてお話します。

単元株制度とは?

単元株制度とは、一個の議決権を行使することができる株式の数を一株では無く、一定数の株式と定めることです。
この一定数の株式を一単元の株式(単元株式数)と呼びます。

上場企業などでは1000株、500株、100株や10株など1回で売買できる単位がありますが、これが一単元になっています。

一単元の株数(単元株式数)の条件は?

一単元の株数は自由に決めることができます。
ただ、全く条件が無いわけではなく、以下の2つの条件があります。
  1. 法務省令で定める数を超えることはできない
  2. 種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない

2つ目の条件は説明は必要ないでしょう。
種類株式を発行している会社は、その種類株ごとに単元株式数を定めるということです。

問題は一つ目です。
法務省令で定める数とは何なのでしょか?

法務省令で定める数とは?

お話している時点で法務省令で定められている条件は以下のとおりです。
  1. 発行済株式の総数の二百分の一に当たる数

一つ目の条件は、そのまま1000株です。
この条件があるので、単元株式数の最大は1,000株になります。

二つ目の条件は、既に発行している株数の200分の1を超えることができないとしています。
200分の1なので、例えば、発行している株式が2,000株であれば単元株式数は10株以下、10,000株であれば50株以下となります。
このため、最大の1,000株にするには、200,000株(20万株)発行している会社で、やっとすることができます。

単元株制度はどうやって定めるの?

単元株制度は株主にとって重要な決め事です。
株主総会で議決権が無くなったり、少なくなるのですから、重要です。

重要な決め事ですので、定款で定めます。

定款で定めるのであれば、株主総会で決めるのですよね?

定款変更についてでお話したように、定款で定める事項ですので、基本的に、株主総会で決めます

ただ、この単元株制度には例外が2つあります。
  1. 株式の分割と同時の場合
  2. 単元株式数を減少させる場合
それぞれについてお話します。

株式の分割と同時の場合

一つ目の例外は、次の2つの条件を満たした場合、株主総会で決めなくても、定款を変更したり、定款に新しく単元株制度の規定をすることができるようになります。

  1. 株式の分割と同時にすること
  2. 株式分割後の各株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数が、株式分割前の各株主がそれぞれ有する株式の数(株式分割前に単元株制度を利用している場合は、株式の数を単元株式数で除して得た数)以上であること

1つ目の条件である、「株式分割と同時」の説明は不要でしょう。
2つ目の条件がわかりにくいので、もう少しお話します。

株式分割後の各株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数が、株式分割前の各株主がそれぞれ有する株式の数(株式分割前に単元株制度を利用している場合は、株式の数を単元株式数で除して得た数)以上であることについて

言葉を置き換えるとわかりやすくなります。

単元株制度を利用していなければ、議決権の数と株式の数は同じになります。
また、株式の数を単元株式数で除して得た数とは、言い換えると、議決権の数です。

先ほどの条件の言葉を同じ意味で置き換えてみます。

株式分割後の議決権の数が株式分割前の議決権の数以上であること。

議決権が減らなければ、株主総会で決めなくても、単元株制度の定款を変更したり、単元株制度を新しく規定することができます。

例えば、「株式分割で1株を10株に分割する場合、単元株式数を10株にする」

増やした数の分、単元株式数にするので、議決権は同数となり、減りません。

減らなければ良いということなので、例えば以下のような変更もできます。

「株式分割で1株を10株に分割する場合、単元株式数を5株にする」

増やした数の分の半分を単元株式数にするので、議決権の数は2倍となり、減りません。

このようなこともできます。

単元株式数を減少させる場合

二つ目の例外は、次の2つの条件を満たした場合、株主総会で決めなくても、定款を変更することができます。

  1. 単元株式数を減少させること
  2. 取締役会(取締役会がない会社は、取締役)が決定すること

単元株式数を減少させること

既にある単元株式数を減少する場合です。
株式の分割と異なり、新規に単元株制度を導入する場合や単元株数を増加する場合は、原則の株主総会での議決が必要です、

取締役会(取締役会がない会社は、取締役)が決定すること

取締役会がある会社では取締役会の議決で、取締役会のない会社は取締役が決めます。

取締役が決めると言っても、複数の取締役が居る会社では、取締役の一人が勝手に決めることはできません。
取締役会の議決の場合、定款で変更していなければ、出席した取締役の過半数の賛成が必要になります。
これと同じように、取締役会のない会社は取締役の過半数の賛成が必要になります。

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