議決権を減らすのに株数を減らすのであれば、株式の消却ではダメなの? ~ 株式の消却について ~

議決権を減らすのに株数を減らすのであれば、株式の消却ではダメなの?とご質問いただきましたので、こちらで回答いたします。
ご質問の方は「株数を減らす」というお話なので、株式の併合と同じように考えられています。
株式の併合と株式の消却では、確かに株数が減るという意味では同じですが、その他の面で違いがあります。
今回は株式の消却のお話と、株式の併合との違いについてお話します。

株式の消却ついて

株式の消却とは?

株式の消却とは、発行してある株式を無くすことです。
結果的に株式の数が減少します。

勘違いされている方がいらっしゃるので、もう少しお話します。
株券を焼却することではありません
このため、株券を発行していない会社でも、株式を消却できます

尚、株券は株主であることを示す重要な物ですので、燃やしたりしないでください。
何らかの理由で、株主を辞めたい場合は、売却するようにしましょう。
株券の発行についてでお話したように、株券を焼却したら、誰が本当の株主かわからなくなることはありえます。
ただ、株式は無くなりません。
株主名簿により、株券が無くても株式が存在することはわかりますので。

株式の消却の方法は?

株式を消却するには、以下の順番で手続きを進めます。
と言っても一つだけです。

  1. 消却する株式について決議する

消却する株式について決議すると言っても決議内容は何でしょうか?

決議の内容は?

決議する内容は、以下の2つです。

  1. 株式の種類
  2. 株式の種類ごとの数

種類株発行会社以外の場合は、株式は1種類しかないので、消却する株式の数だけを決めます。
また、種類株発行会社の場合は、消却する株式の種類も決めます。
種類株ごとに消却する株数を変更することも、0にする(=消却しない)こともできます。
このため、特定の種類株式だけ消却するようなこともできます。

決議はどこで?

決議する場所のお話です。

基本は株主総会で決議します。
取締役会がある会社は株主総会ではなく取締役会で決議します。

この決議は、普通議決です。
株式の数が減るので、株主にとって重要なことのようですが、普通議決でよいのです。

これまで株主にとって重要な事項の場合、特別議決になるとお話しできました。
現に株式の併合の場合は、特別議決が必要です。

それでは、なぜ、株式の消却は普通議決で良いのでしょうか?
その理由は、消却できる株式に制限があるからです。

消却できる株式の制限とは?

消却できる株式の制限とは、消却できる株式の持ち主に関係します。

消却できる株式は、会社が保有している株式(自社株だけです。
株主が持っている株式を消却することはできません。

株式会社は自社の発行した株式を所有することができます。

種類株式についてでお話したように、会社は買い取りを請求された株式を買い取りますので、会社が自社の株式を持つことはあります。

また、単元未満株や株式の併合で生じた端株など、会社が株主との交渉で自社株を持つこともあります。

それ以外にも、何らかの理由で、会社が株主から自社株を買うこともあるでしょう。

このような自社株を消却できるのです。

自社株のみですから、株主に直接の影響がないため、普通議決でよいのです。

どう使うの?

議決権を減らすというよりは、株主還元策として使われます。

株式の基準価格は、会社の資産を発行済みの株数で割ることで求めることができます。
実際の取引では、会社の将来性など他の要因もあるので、必ず資産を株数で割ったものにはなりませんが、基準となる株価は、割り算で求めます。
式で書くと以下のようになります。

株式の価値=会社の総資産÷発行済株式総数

株式の数が減少するということは、上の式の発行済株式総数が減少します。
分母が減少するので、株式の価値が増加します。

株式の価値が増加することは株主にとってうれしいことです。

会社は持っていた現金などで株を買ったのですから、株式の価値の増加分は会社から株主へ戻されたもの(還元されたもの)と考えられるのです。

このような方法に使われます。

公開会社特有の注意点

「発行可能株式総数について」でお話したように、公開会社は、発行済株式総数の4倍を超えた発行可能株式総数を設定にすることができません。

それでは、公開会社が発行済株式総数の4倍ちょうどに発行可能株式総数を設定している場合は株式の消却ができるのか?という問題が生じます。

もう少し式を使って説明します。

発行済株式総数×4=発行可能株式総数

この時、株式の消却により発行済株式総数が減少しますから、

発行済株式総数×4<発行可能株式総数

となり、4倍を超えることになります。

4倍を超えることができないのであれば、株式の消却ができないのではないか?
というような理由です。

このような、株式の消却により発行可能株式総数が発行済株式総数の4倍を超えるような場合であっても、株式を消却することができます。
結果として、公開会社であっても、発行可能株式総数が発行済株式総数の4倍を超える事は起こりますので、ご注意ください。

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