株券の発行について

前回は株券に書かれている内容についてお話しました。
ただ、最近ではあまり株券について聞かなくなりました。
さて、どうしてでしょうか?

株券の発行について

会社法施行前

会社法が施行される以前は、原則として株式会社は株券を発行することになっていました。

これは、株券の所有者が株主であると証明する意味も持っていたからです。

ただ、この制度、分かりやすいところでは、以下のような問題がありました。

  1. 株主が誰かわからない
  2. 株券の管理が大変

順次お話します。

株主が誰かわからない

売買で株券だけを受渡しするので、会社からするとある時点の本当の株主がだけかが分からない状態になったのです。

制度上は株主名簿があって、売買した場合は、会社に名義書き換えを行わなければならないようにはなっていました。

証券市場で売買するような制度があれば、書き換え手続きも証券会社が行うようなことはできます。
しかし、非上場企業の場合、株券を売買した後に、会社に名義書き換えの手続きを行わなかったとしても、当事者以外、誰もわかりません。
株券があれば、株主であることは証明されるのですから、面倒な手続きをしない人が出てもおかしくありません。
面倒なだけではなく、会社によっては、書き換え手数料を取ることもあり、余計な出費を嫌って、手続きしない人もいました。

有価証券全般のお話として、別の問題もあります。
株券などの有価証券を盗まれると、持っている人、言い換えると盗んだ人が株主になってしまいます。
盗んだ当人から盗んだ株券と知らずに転売されれば、もう、わからなくなります。
盗まれた人だけではなく、その前の人を含めて、名義書き換えの手続きをしていない人が何人か間に居れば、尚更です。

このような状態になると、会社は株券を持っている人に知らせてもらわないと、株主が誰なのか知るすべは無くなります。

株主は株主総会の出席者ですから、毎年の定時株主総会で誰を呼べばよいのか分からないというのは、なかなかの問題です。

株券の管理が大変

先ほどもお話しましたとおり、株券を盗まれる問題があります。
それだけではなく、株券は紙ですから、家事などで燃えてなくなることもあります。
また、保管場所が良くないと、株券の内容が読めなくなったり、ぼろぼろになって株券と認識できなくなったりします。
それに、大事に保管したために、保管場所が分からなくなることもあります。

上場株式のように毎日ように売買される場合、売買ごとに株券の受け渡しが必要となり、その手間は膨大なものになります。
証券保管振替機構など手間を削減する方法は考えられましたが、それにしても、事務手続きは煩雑で膨大になります。

有価証券全般に言えるのですが、管理の手間がかかるのです。

会社法施行以後

会社法では、原則として株式会社は株券を発行しないことになっています。
理由は、先ほどの問題だけではないのですが、このような状態を改善するために、会社法では、株券の発行についての考え方を変えました。

現在では、全ての上場会社で株券が廃止され、株券を発行しないことになっています。
これで、先ほどの問題2つが多少でも改善されます。

株主が誰かわからない

株主であることを証明するのに、株券を使うことをやめたのです。

代わりに、昔からあった、株主名簿に記載された人が株主であると考え方を変えました。

これであれば、株式を売買したら、名簿の書き換え手続きをしないと、株主にはなれないので、面倒な手続きも、株主になるために行うでしょう。
こうすることで、株主名簿の名義書き換えが行われるようになります。
完全ではないにしても、株主総会の呼び出しで困らなくなることが実現できそうです。

株券の管理が大変

紙の株券がなくなるのですから、管理する物がありません。
こちらは完全に解決されました。

でも株券があった方が良い会社も・・・

昔から株券を発行している会社の場合、株券を無くす手続き自体が大変な場合もあります。
また、売買するには、株券があった方が売り買いする株主等は簡単で便利です。

このため、株券を発行するようにすることができます。

気を付けてほしいのは、既存の会社だけではなく、会社法施行後に新規設立した会社でも株券を発行することはできます。

原則として株式会社は株券を発行しないとしただけで、株券発行の禁止ではしないのです。

定款で株券を発行することを決めなければならないですが、株券の発行はできます。

多くの会社で株券が発行されないことに・・・

結果として多くの会社が株券を発行しないようになりました。
問題もありますし、発行費用などお金もかかるためです。

株券という物がなくなった結果、株券の話が出なくなってきたのです。

このようにして、株券の話は聞かなくなりました。

タグ:, , , ,

質問はこちらから


広告枠・・・広告やリンク先の保証はしません広告枠・・・広告やリンク先の保証はしません