エンジニアのための著作権入門

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著作者人格権:氏名表示権について

『公表権』より、幅が広い、『著作者人格権』の権利の一つである『氏名表示権』についてお話します。

『著作者人格権』の種類及び共通する権利については、『著作者人格権』についてを参照ください。

公表権』と似ている部分と異なる部分に分けてお話します。

『公表権』と同じようなところ

『公表権』と同じように『氏名表示権』にも、2つの側面があります。
【著作者名を表示する権利】と【著作者名を表示しない権利】です。

当然ですが、著作物は作ったとしても、著作者名は表示されていません。

著作物』に『著作者名』を記載するかどうか、言い換えると表示するかどうか?を決めることができる権利です。

何でこんな権利があるの?と言うのは、写真で例える分かりやすいかもしれません。

写真の場合、絵画などと違い、写真の中に撮影者の名前を入れることはほとんどありません。
しかし、以下のように誰が撮影したのか?を入れることもできます。

  • デジタル写真のような場合、データの中に入れられますので、データに含めさせる。
  • 週刊誌などの出版物に掲載する場合に、だれが撮影したかまで、掲載させる。

と言うようなことができる権利です。

著作物によっても、いろいろな理由はありますが、氏名を表示するかどうかは、実際に問題になることがあります。
このため、『氏名表示権』として、【表示する権利】と【表示しない権利】を定めています。

『公表権』より広いところ

表示する場合の表示の仕方を決めることができる権利です。

と言ってもわかりにくいので、先ほどの写真と比較した絵画を例にお話しましょう。

絵画の場合は、署名や雅号、落款などいろいろな表示があります。

このような表示は、実名ではないので、ダメかというとそうではありません。
本名(著作権法では『実名』と言います)だけでなく、ペンネーム(同じく著作権法では『変名』と言います)でも、雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるものでも良いことになっています(著作権法第十四条)。
ただし、ペンネーム等の場合、他の人と同じだったり似通っていると、誰のものなのかわからなくなるので、誰のものかは特定できる(言い換えると、独自性のある)表示でなければいけません。

注意事項

『公表権』と同じように、『氏名表示権』にも制限が加えられることがあります。

著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができます(著作権法第十九条3)。

といってもわかりにくいので、例を挙げると、喫茶店などで流れているBGMです。

BGMで流しているのに、いちいち作曲者名をアナウンスしていては、BGM失格です。
このため、このような場合は、作曲者名をアナウンスは不要としています。

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