エンジニアのための著作権入門

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制限:教育関係でのコピー

教育のための複製はしてもよいと聞きましたが、社内教育でも利用できるの?先輩エンジニアが新人教育をする時などの『教育関係でのコピー』についてのお話です。

著作権の制限事項の種類については、著作権の制限事項についてを参照ください。

新人教育を任された先輩エンジニアからこのような質問を頂きました。
「教育のための複製はしてもよいと聞きましたが、社内教育でも利用できるの?」。
今回はこのことについてお話します。

『教育関係』とは?

著作権法では以下のように定められています。

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
(著作権法第三十五条)

いつものように分解していきますと以下のようになります。
  1. 営利を目的としない教育機関であり
  2. 担任及び授業を受ける人が
  3. 授業で使用することを目的として
  4. 授業で必要な範囲に限定して
  5. 著作権者の利益を不当に害さないように
  6. 公表された著作物を
複製できる。
尚、この場合、『出所を明示』する必要があります。
教科書などで参考図書と書いてあるアレです。

ということで、新人教育をするエンジニアは教育機関ではない一般企業に勤めていることがほとんどのため、複製することはできないと読めます。

『試験問題』では使える

試験問題については以下のような規定があり、使うことができそうです。

公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信を行うことができる。
(著作権法第三十六条 抜粋)
営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
(法第三十六条 2 抜粋)


技能を確認するための試験を行うような場合、文献から問題を作成することもあります。
そのような場合は使ってもよいという規定です。
学識技能や検定の目的と認められ無いといけないので、どんな試験大丈夫ではないですが、教育機関に限定されていないので、使えることは多そうです。
当然、著作権者の権利を害するような使い方はできません。
そして、「法第三十六条 2」の通り、使用料を支払う必要があります。

無料と言うわけにはいかないので、注意してください。

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