エンジニアのための著作権入門

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出所の明示について

今までも出所の明示としてお話していました。
いろいろな場面で登場するので、参照しやすいように、今回は出所の明示が必要になることをまとめてお話します。

出所の明示は4種類

出所の明示は、著作権法の第四十八条に規定されています。
この条文では、出所の明示が必要なグループを、利用の仕方によって以下の4種類に分けています。

  1. 著作物を複製する場合
  2. 著作物を利用する場合
  3. 著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき
  4. 著作物を利用して二次的著作物を作成する場合

著作物を複製する場合

この利用方法は「複製する」ので、複製した側で出所の明示が必要になります。

条文内容
第三十二条引用
第三十三条第一項教科用図書等への掲載
第三十三条第四項教科用図書等への掲載
第三十三条の二第一項教科用拡大図書等の作成のための複製等
第三十七条第一項視覚障害者等のための複製等
第四十二条裁判手続等における複製
第四十七条美術の著作物等の展示に伴う複製

著作物を利用する場合

この利用方法は著作物そのものを「利用する」ので、利用するところで出所の明示が必要になります。

条文内容
第三十四条第一項学校教育番組の放送等
第三十七条第三項視覚障害者等のための複製等
第三十七条の二聴覚障害者等のための複製等
第三十九条第一項時事問題に関する論説の転載等
第四十条第一項政治上の演説等の利用
第四十条第二項政治上の演説等の利用
第四十七条の二美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等

著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき

この利用方法は著作物そのものを「利用する」ので、利用するところで出所の明示が必要になります。
ひとつ前と異なるのは、出所を明示する「慣行があるとき」と条件が追加されています。

条文内容
第三十二条引用
第三十五条学校その他の教育機関における複製等
第三十六条第一項試験問題としての複製等
第三十八条第一項営利を目的としない上演等
第四十一条時事の事件の報道のための利用
第四十六条公開の美術の著作物等の利用

著作物を利用して二次的著作物を作成する場合

二次的著作物を作成する場合も、元になった著作物についての明示が必要です。
既にお話している二次的著作物の利用に関する原著作者の権利についても参照ください。

出所の明示の方法

出所の明示の方法についても著作権法の第四十八条に規定されています。

難しいことは無く、簡単です。

該当著作物に表示されている著作物の題名や著作者名、出版社名などを示す。
その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度で明示すること。

当然、著作物が無名であれば、著作者名などを明示できません。
また、著作者人格権の氏名表示権で【表示をしない】としている場合は、著作者が分かっていても著作者名は表示できません。
表示しない権利を行使しているのですから、そうなります。

出所の明示の注意事項

出所の明示をしても、著作権者の同意は必要です。
出所の明示をしたからと言って著作権者から同意を得ない行為の免罪符にはなりません。
出所の明示と著作権者の同意は、別問題として考えなければなりません。

出所の明示は、著作物を複製又は利用する上での必須事項であり、違反すると以下の罰則がありますので、注意しましょう。
第百二十二条五十万円以下の罰金


引用のように、たとえ同意が必要のない場合であっても、出所の明示は必要になります。

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