エンジニアのための著作権入門

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著作権:公衆送信権等について

「公衆送信」って?エンジニアに強い関係を持つ、著作権の権利の一つである『公衆送信権等』についてのお話をします。

『著作権』の種類及び共通する権利については、狭義の著作権についてを参照ください。

「公衆送信」って何?

『公衆送信』の前に、『公衆』のお話をします。
『公衆』とは、不特定の人だけではなく、特定の多数の人も含むと定義されています。(著作権法第二条5)
そして『公衆送信』とは、公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことと定義されています。(著作権法第二条七の二)

言い換えると、無線・有線に関係なく、通信機器で、特定の多数か不特定の人に送信される事となります。

無線・有線に関係ないので、WLANやLANなどの接続手段に関係なく、ネットに接続する機器での通信も含まれます。
このため、ウェブサイトだけではなく、メールの同報送信も公衆送信に含まれる場合があります。
当然、FAXの同報送信も同じです。

場合があると言っているのは、「特定の多数」って、何人から?ということに明確に規定がないからです。

同じ考え方で、メーリングリストへの投稿も含まれます。
送信する側から見ると相手は1つに見えますが、結果的に「特定の多数」に配信されるからです。

「送信可能化権」ってのもあります

先ほど、さらっとウェブサイトとお話しましたが、ウェブサイトにアップすることは送信ができるようにすることなので、『公衆送信権等』のなかでも、『送信可能化権』と言われています。

アップ直後に、誰かがウェブサイトを見た場合を除くと、ウェブサイトにアップしても、実際には、まだ、誰からも見られていないです。
言い換えると、誰にも送信していないことになります。

誰にも送信していないのに『公衆送信』とは?
と禅問答になりそうなのですが、以下のような理由で『公衆送信』の中に含めています。
  1. 誰かがウェブサイトを見たら<自動>で送信されるので、たまたま誰かが来ていないだけで、送信されたこと同じと考えられる!
  2. 『公衆送信』できる状態というのは、実際には『公衆送信』されたのと同じではないか!
  3. 『公衆送信』できる状態にすることも含めて、権利にしよう!
「『公衆送信』できる状態にする」ということを言い換えて、『送信可能化』と呼ばれます。

同じ考え方で、ウェブサイトに限らず、自動で応答する電話やFAXなどの通信機器も含まれます。
ウェブサイトもあるので、同じサーバという<通信機器>を利用するメールも含まれます。
サーバは使っていなくて、自分のメーラーで自動返信するから、という場合も、結果として自動で送信することになるので、含まれます。

「公衆送信権」と「送信可能化権」の違いは

かなり乱暴な分け方をすると、以下の通りです。

  • 『公衆送信権』
    手動で送信する権利。
    実際に送信されるかに関係する。
  • 『送信可能化権』
    自動で送信できる状態にする権利。
    実際に送信されたかどうかは無関係。

自動・手動の違いと実際の送信が関係するかどうかが異なります。

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